スターリン勲章

スターリン勲章の歴史と背景

スターリン勲章（ロシア語: Орден Сталина）は、かつてソビエト連邦で設立が提案された栄誉の勲章です。この勲章は、共産党中央委員会書記長であったヨシフ・スターリンにちなんで名付けられました。その制度化に向けた最初の計画は、1945年6月22日に、ヴャチェスラフ・モロトフ、ラヴレンチー・ベリヤ、ゲオルギー・マレンコフ、クリメント・ヴォロシーロフ、アナスタス・ミコヤンの5名が連名で提出した議案から始まります。この案は全連邦共産党中央委員会政治局に持ち込まれましたが、結局実現には至りませんでした。最初の試みは、ソビエト連邦最高会議での法案準備、並びに勲章の金属製サンプルの作成まで進められましたが、数々の理由によってこの構想は立ち消えとなりました。

1949年には、スターリンの70歳の誕生日を記念して再度勲章の設立に向けた動きが活発化します。イヴァン・ドゥバソフ、ニコライ・モスカリョフ、A・I・クズネツォフらがデザイン案を作成し、またレニングラード造幣局のN・ソコロフによって制作された拡大石膏模型も存在します。この模型は肖像部分を除いてはレーニン勲章の模倣であり、現在はロシア美術館に保存されています。

これらのデザインは党中央委書記局の重要メンバー、マレンコフ、ミハイル・スースロフ、そしてスターリンの秘書であるアレクサンドル・ポスクリョブィシェフの手に渡りましたが、承認には至らず、その理由には不明点が残ります。スターリン本人は「今は必要ない。私が死んだら好きにしろ」といった発言を残していると伝えられています。

1953年にスターリンが亡くなると、その直後の4月にはゴズナクの協力を得て、勲章の制作が開始されました。このデザインには、赤い五芒星とそれを囲む金の光線、月桂樹やオークの枝が取り入れられ、中心には「ソビエト連邦大元帥スターリン」という文字で囲まれた肖像が描かれることになりました。素材としては金や白金が予定される一方、貴金属を使用しないサンプルも制作され、そのうちの一つは現在もサンクトペテルブルク造幣局に存在します。

しかし、スターリン批判の風潮が強まる中、勲章の設立に向けた動きは徐々に落ち着きを見せました。1960年代にはレオニード・ブレジネフの75歳を祝う場で再び党レニングラード州委第一書記のグリゴリー・ロマノフが2個のサンプルを作成しましたが、これも未遂に終わりました。

なお、1998年3月4日以降、ロシアの民間団体である「ソビエト連邦人民代議員大会常設幹部会」が独自にスタイルのスターリン勲章を制定し、授与を行っています。これにより、長い間夢見られたこの勲章のビジョンは現代にもかすかな形で残っているということが言えます。

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