スター・トレック (1979年の映画)

『スター・トレック：劇場版』

1979年に公開された『スター・トレック：劇場版』は、アメリカのSF映画で、人気テレビシリーズ『宇宙大作戦』を基にした映画の第1弾です。この映画は、シリーズのファンだけでなく、SF映画ファンにも大きな期待を集めていました。本作品は、しばしば「TMP」という略称で呼ばれ、1983年には新たに未公開シーンを追加して放送されました。また、2001年には監督ロバート・ワイズによる特別完全版が発表され、視覚効果や音響が改訂されています。

ストーリー概要

映画の物語は、銀河を進む巨大な雲状の存在の出現から始まります。この謎の雲は、進路上でクリンゴン艦や研究ステーションを攻撃し、消滅させるという脅威をもたらします。地球を狙うこの事態に対処できる宇宙船は、長期間の改装を経た「USSエンタープライズ」だけです。その指揮を執るのは、提督に昇進したカーク。しかし、カークは地上任務に就いていたため、再度現場に戻る決意をします。

エンタープライズが進む先には、雲の中に「ヴィジャー」と名乗る存在が潜んでいました。ヴィジャーは、自らを創り出した「クリエイター」を探し求め、接触を試みています。その過程で、地球の生命体である人類が創造者との通信を妨げていると判断した彼は、人類を排除する計画を立てます。一方、カークたちはこの存在と直接対話をすることを決定。交渉の末、カークはヴィジャーにクリエイターの存在を教える代わりに、彼と面会することになります。そこで、カークたちはヴィジャーとその創造者の正体に驚愕することとなるのです。

登場人物とキャラクター

本作には、元々制作中止となった『スタートレック:フェイズII』から引き継がれたキャラクター達が登場します。エンタープライズの艦長ウィラード・デッカーと、航法士アイリーアがその代表です。デッカーはカークにその座を譲る形になりますが、彼自身も重要な役割を果たします。アイリーアはヴィジャーによって取り込まれ、不幸な運命を辿ります。

ヴィジャーは、巨大なエネルギーの雲として描かれ、驚異的な力を持っています。彼は目の前の物体をデジタル化し、情報として取り込む能力を持つため、全宇宙の脅威ともいえる存在です。

制作と技術

本作の制作には、当時としては巨額の予算が投入され、ロバート・ワイズが監督を務めました。視覚効果には、ダグラス・トランブルとジョン・ダイクストラが関与し、最新技術を駆使した効果映像が多く盛り込まれています。特に、映画が公開された1970年代後半はSF映画の隆盛期であり、多くの作品が新しい技術を取り入れ、観客の期待を大いに高めていました。

しかし、制作過程ではさまざまな困難が伴いました。企画初期に視覚効果を担当する計画が頓挫したため、急遽他のスタッフが新たに手がけることになったのです。結果として、ジャンプや光の表現等、さまざまな技術的挑戦を経て、多くの特撮シーンが完成しました。

音楽と映像

音楽はジェリー・ゴールドスミスが担当し、後に新シリーズでも使用されるテーマ曲が生まれました。また、作品の技術的な限界や当時の特撮の課題が残るなか、2001年には特別完全版を発表し、視覚効果をデジタルリリマスターしました。

映画は初めこそ不安のあるスタートを切りましたが、観客からの評価が高まり興行的成功を収めます。結果として、この第1作は『スター・トレック』シリーズに大きな影響を及ぼし、未来の作品群へとつながっていく重要な位置づけとなるのです。

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