スチュワート・グランプリ

スチュワート・グランプリ (Stewart Grand Prix)

スチュワート・グランプリは、1997年から1999年の間、フォーミュラ1（F1）世界選手権に参加したイギリスのレーシングチームです。このチームは、3度のF1チャンピオンであるジャッキー・スチュワートとその息子、ポール・スチュワートによって設立されました。スチュワート・グランプリの設立は、ポールが以前に運営していたポール・スチュワート・レーシング（PSR）に基づいています。

沿革とPSRの設立

ポール・スチュワートは1988年にフォーミュラ・フォード2000でのデビューを果たし、同年に自らのレーシングチーム、ポール・スチュワート・レーシングを設立しました。このチームはミルトンキーンズを拠点に、さまざまなカテゴリーを戦い、特にイギリスF3選手権で6名のシリーズチャンピオンを輩出するなど成功を収めます。ポールは1993年にはレーサーを引退し、チーム運営に専念することになりました。

F1参戦の背景

ジャッキー・スチュワートは、F1現役引退後もフォードのコンサルタントを務めており、1995年にはPSRのF1進出が計画されます。その背景には、フォードのワークスエンジンサプライを受けたベネトンがエンジンを変更したことでの空いた供給先を探す動きがありました。スチュワート親子はフォードの全面的な支援を受け、1996年1月にスチュワート・グランプリの参戦計画を発表しました。

チームの要職には、デビッド・スタッブスがチームマネージャー、アラン・ジェンキンスがテクニカルディレクターに就任し、さまざまな専門家が集結しました。資金面でも香港上海銀行やテキサコなどの大口スポンサーが存在し、強力な後ろ盾を持っていました。

1997年シーズン

1997年、チームはジョーダンからルーベンス・バリチェロをエースドライバーに迎え入れ、ヤン・マグヌッセンをセカンドドライバーに起用しました。新車SF-1の開発はアラン・ジェンキンスが行い、タイヤは新規参入のブリヂストンを選択。バリチェロはモナコグランプリで2位入賞を果たし、チームにとって初の表彰台を獲得しましたが、結果的には他のレースでの入賞は難しく、リタイアも多く出ました。

1998年シーズン

1998年もドライバー陣はバリチェロとマグヌッセンのままでしたが、マシンの開発が思うようにいかず、シーズン中盤にはマグヌッセンが解雇され、ヨス・フェルスタッペンが後任となりました。コンストラクターズランキングは8位に上昇しましたが、入賞はわずか3回のみでした。

1999年シーズン

1999年には、バリチェロと新たに加入したジョニー・ハーバートのラインナップで戦いました。この年はSF-3の設計のもとにチームのパフォーマンスが向上し、バリチェロが第2戦ブラジルGPでリードを奪うと、第7戦フランスGPではポールポジションを獲得。第14戦ヨーロッパGPでは、ハーバートがチーム初優勝を果たし、コンストラクターズランキングでも4位に上昇する成果を挙げました。

チームの変遷

しかし、モータースポーツ活動を拡大したフォードは、1999年にスチュワート・グランプリを買収し、2000年からはジャガー・レーシングとしてF1に参戦することを発表しました。ジャッキー・スチュワートは勇退し、ポールはチームに残るも、病気治療に専念するために辞職することとなりました。

その後、ジャガー・レーシングは経営的な問題から低迷し続け、最終的には2004年にレッドブルに売却されましたが、スチュワート時代の活動が現在のレーシングチームにも影響を与えていることは否めません。

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