スティングレイ (IMSIキャッチャー)

スティングレイとは：携帯電話を追跡する秘密の装置

スティングレイ（Stingray）は、携帯電話基地局になりすまし、周囲の携帯電話やスマートフォンの位置情報やIMSI（加入者識別番号）などの情報を収集・追跡するIMSIキャッチャーの一種です。主にアメリカやイギリスなどの国々で、極秘裏に犯罪捜査に使用されているとされています。

概要

スティングレイの実態は、アメリカ自由人権協会（ACLU）が行った情報公開請求によって公開された書類を通じて明らかになりました。この装置は、本来、犯罪捜査における重要なツールとして利用されていますが、その使用方法には大きな問題が潜んでいます。

特に問題視されているのは、パラレルコンストラクションと呼ばれる手法です。これは、実際には捜査にスティングレイを使用していたにもかかわらず、法廷などで証拠を提出する際に、別の情報源から得られた証拠であるかのように偽装する行為を指します。このような行為は、透明性を欠き、司法の公正さを損なう可能性があります。

近年では、少女への性的虐待で起訴され、その後拘置所で自殺したジェフリー・エプスティーンの共犯者と目される、ジーレン・マクスウェルの逮捕の際に、連邦捜査局（FBI）が彼女の居場所を特定するためにスティングレイを使用したと報じられています。この事例は、スティングレイが重大な犯罪捜査において、重要な役割を果たしていることを示唆しています。

プライバシー上の問題

スティングレイの使用を巡っては、プライバシー保護の観点から大きな懸念が寄せられています。その理由は主に以下の2点です。

1. 秘密裏の使用: スティングレイの存在自体が長らく公にされておらず、その使用に関する情報も開示されていませんでした。そのため、市民は自身が監視されている可能性に気づきにくく、知らぬ間にプライバシーが侵害されている可能性があります。

2. 無差別な情報収集: スティングレイは、特定の犯罪に関与している人物だけでなく、周辺にいる無関係な一般市民の情報もまとめて収集してしまいます。これは、必要以上に広範囲な個人情報を収集することになり、プライバシーの侵害につながるという批判があります。

これらの問題点から、スティングレイの使用は、個人のプライバシーを保護する権利と、国家の安全を守るという目的との間で、慎重なバランスを取る必要性があることを示唆しています。

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