アメリカ自由人権協会

アメリカ自由人権協会（ACLU）

アメリカ自由人権協会（American Civil Liberties Union、略称ACLU）は、アメリカ合衆国における言論の自由を中心に、さまざまな市民の権利を擁護する非営利団体です。1920年に設立され、現在でもアメリカの重要な人権擁護機関として広く認知されています。2005年度時点での会員数は約50万人にのぼり、法律の専門家や弁護士による支援を通じて、言論の自由が侵害された個人や団体を助けています。

歴史的背景

当協会の起源は1917年に創設された「National Civil Liberties Bureau（全国市民自由ビューロー、NCLB）」にまで遡ります。NCLBは、第一次世界大戦に対するアメリカの参戦に反対した団体から派生しており、当初は良心的徴兵忌避者や関連する法律の犠牲者への法的支援を行っていました。しかし、平和主義者としての活動ゆえに、社会主義や共産主義のプロパガンダ機関と疑われ、州議会に召喚されたこともあります。

1920年、NCLBはアメリカ自由人権協会に改名します。これにより、言論や表現の自由を守るための運動が本格化し、赤狩りの時代には外交での支持者を募る活動を展開し、司法長官に対して抗議活動を行いました。特に、共産主義者やその活動家に対する庇護を掲げたことから、協会はその後のさまざまな政策争いの中心的な存在となりました。

1940年、ACLUは共産主義者の団体ごとのメンバーシップを禁じるという姿勢を示し、それ以降ACLUはリベラル派と保守派からの賛同者を持ちながらも、人権問題においては一貫して中立的な立場を維持することを目指してきました。冷戦時期には、アメリカ共産党との関連性についての批判に対して、公然と関係の見直しが行われました。

権利擁護の活動

1988年のアメリカ大統領選挙では、ジョージ・H・W・ブッシュがマイケル・デュカキスを「ACLU正会員」と称したことで、ACLUはその名をさらに広めることとなりました。1996年以降はインターネットにおける表現の自由に関する法案に立ち向かう一方、アメリカ同時多発テロ事件後の権利制限に対しても反発し、特に米国愛国者法（USA Patriot Act）に対しては声高に反対の姿勢を示しています。上記の法律が市民の自由を侵害するものであるという理由から、多くの法的闘争を展開してきました。

ACLUと日本

ACLUの活動はアメリカ国内に留まらず、国際的な人権活動にも影響を与えています。1947年には、ACLUの創設者であるロジャー・ナッシュ・ボールドウィンが日本を訪れ、日本自由人権協会の結成に寄与しました。このようにして、ACLUは国際的な人権擁護運動にも関連し、日本国内での人権の向上にも影響を与え続けています。

ACLUは、自由な社会を築くために人々の権利を守り、権利の侵害に立ち向かう重要な存在であると言えるでしょう。

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