スティーブン・エロップ

スティーブン・エロップ（Stephen Elop、1963年12月31日 - ）は、カナダ出身の著名な実業家です。オンタリオ州アンカスターで生まれ育ち、同州ハミルトンにあるマックマスター大学を卒業しています。

経歴

エロップ氏のキャリアは、テクノロジー業界を中心に多岐にわたります。

1992年、彼はボストン・チキン社の最高情報責任者（CIO）に就任しましたが、同社は1998年に倒産に至りました。

その後、1998年にソフトウェア会社マクロメディアに入社しました。同社では順調に昇進を重ね、2005年1月には最高経営責任者（CEO）に就任。CEOとして、同年4月にはライバル企業であったアドビシステムズへの34億ドルでの会社売却という重要な決定を主導しました。売却完了後、翌2006年12月にマクロメディア（アドビシステムズ）を去りました。

2007年には、ネットワーク機器メーカーのジュニパーネットワークスにて最高執行責任者（COO）を務めました。

2008年1月には、世界最大のソフトウェア企業であるマイクロソフトに入社。ビジネス部門担当のプレジデントとして、Office製品群などを含む基幹事業を統括しました。

2010年9月20日、当時携帯電話市場での苦戦が顕著となっていたフィンランドのノキア社にて、前任CEOオリペッカ・カラスブオ氏の退任を受け、マイクロソフトを離れることを発表。翌日には同社の最高経営責任者（CEO）に就任しました。これはノキア史上初めてのフィンランド人以外のCEO誕生として、大きな注目を集めました。

ノキアCEOとして、同社の立て直しを図るべく、エロップ氏は大胆な改革を打ち出しました。2011年2月には、それまでの主要プラットフォームであったSymbianに代わり、マイクロソフトのモバイルOSであるWindows Phoneを主力として採用するという戦略的提携を発表。これにより、ノキアは長年培ってきた自社開発プラットフォームから、外部OSへの依存へと舵を切ることになります。事業再編の一環として、約3000人の従業員をアクセンチュアへ移籍させるなどの人員削減も実施しました。

しかし、スマートフォンの市場競争は激化し、ノキアの業績回復は困難を極めました。最終的に2013年9月、ノキアの携帯電話事業を72億ドルでマイクロソフトに売却する契約を締結。この契約に伴い、スティーブン・エロップ氏自身もマイクロソフトに復帰することとなりました。

マイクロソフト復帰後は、デバイス部門の責任者として、旧ノキア事業を含むハードウェア関連事業を統括しました。しかし、マイクロソフトはノキア買収に関連して大規模な減損損失（76億ドル）を計上するなど、買収した事業の再評価を進めました。その事業構造の見直しが進む中で、2015年6月にエロップ氏がマイクロソフトを退職することが発表され、再び同社を去ることとなりました。

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