スティーブ・バトラー (数学者)

スティーブン・キー・バトラー（Steven Kay Butler）は、1977年5月16日にアメリカ合衆国で生を受けた数学者です。彼の学術的な専門は、グラフ理論と組合せ論という数学の領域に深く根差しています。

学術的な道のりは、ブリガムヤング大学で始まりました。ここで彼は数学の修士号を取得し、2003年にその課程を修了しています。修士論文では、「非常に長い誘導パスを含むグラフの数の制限（Bounding the Number of Graphs Containing Very Long Induced Paths）」という興味深いテーマに取り組んでいました。さらなる研究の深化を目指し、カリフォルニア大学サンディエゴ校へ進学します。そして、2008年には同校で数学の博士号を取得しました。博士課程での研究は、金芳蓉氏の指導のもと、「グラフの固有値と構造（Eigenvalues and Structures of Graphs）」に焦点を当てて進められ、この成果が博士論文としてまとめられました。

博士号取得後は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて博士研究員として活動し、研究者としてのキャリアを積んでいきました。その後、2011年にはアイオワ州立大学に教員として着任し、教育と研究の両面で貢献を開始します。その実績と貢献が認められ、2017年には同学の数学科におけるバーバラ・J・ジャンソン教授職に任命されました。

バトラー氏の業績の中で特に著名なものの一つは、数学者の共同研究関係を示すユニークな指標である「エルデシュ数」に関連するものです。2015年、彼は伝説的なハンガリーの数学者ポール・エルデシュ、そしてロナルド・グラハムとの共同執筆による論文を発表しました。この論文はエジプト式分数に関する研究成果をまとめたものでした。この共同研究の公表により、バトラー氏にはエルデシュ数1が付与されることとなりました。彼はエルデシュ数1を持つ512人目の人物となりましたが、注目すべき点は、この共同論文がポール・エルデシュの没後に出版されたことにより、バトラー氏がエルデシュの死後に初めてエルデシュ数1を取得した人物となった、という事実です。これは、エルデシュが存命中に共同で行った研究が、時間を経てから論文として発表された稀有なケースであり、数学史においても特筆されるエピソードとなっています。

スティーブン・キー・バトラー氏は、このようにグラフ理論や組合せ論といった専門分野で精力的に研究活動を行うとともに、教育者としても後進の指導にあたっています。彼のエルデシュ数1取得のエピソードは、数学界における共同研究の歴史と広がりを示す事例としても語り継がれています。

もう一度検索