スティームパケット

スティームパケット（Steampacket、Steam Packetと表記されることもある）は、1965年にロング・ジョン・ボルドリーを中心に結成されたブリティッシュ・ブルース・バンドです。メンバーには、ロッド・スチュワート、ジュリー・ドリスコール、ブライアン・オーガーといった、後にそれぞれが音楽界で大きな成功を収めることになる才能が集まっていました。

結成と活動

スティームパケットは、ロング・ジョン・ボルドリーが以前に在籍していたフーチー・クーチー・メンの解散後、新たな音楽的試みとして結成されました。バンドには、フーチー・クーチー・メンでボルドリーと活動を共にしていたロッド・スチュワートに加え、卓越した歌唱力を持つジュリー・ドリスコール、オルガン奏者ブライアン・オーガー、ギタリストのヴィック・ブリッグスが参加しました。マネージメントは、ローリング・ストーンズやヤードバーズを手掛けたジョルジオ・ゴメルスキーが担当しました。

スティームパケットは、イギリス各地のクラブ、劇場、学生組合などで精力的に演奏活動を展開し、1965年にはローリング・ストーンズのイギリス・ツアーのサポートも務めました。しかし、契約上の問題から、スタジオ録音やライブアルバムの制作は実現しませんでした。マーキー・クラブでのリハーサルを録音したデモテープが、後にロッド・スチュワートの成功にあやかる形で、『First of the Supergroups: Early Days and The First Supergroup: Steampacket Featuring Rod Stewart』という紛らわしいタイトルでリリースされています。

短い活動期間とその後

ロッド・スチュワートは1966年初頭にバンドを脱退し、数ヶ月後にはロング・ジョン・ボルドリーも脱退。その後、バンドは解散しました。ロング・ジョン・ボルドリーは、キーボード奏者として当時まだ無名だったエルトン・ジョンが参加していたブルーソロジーに加入し、ソロ・キャリアを追求。1967年には「Let the Heartaches Begin」で全英シングルチャート1位を獲得する大ヒットを記録しました。ジュリー・ドリスコール、ブライアン・オーガー、ヴィック・ブリッグスはザ・トリニティーを結成し、「火の車 (This Wheel's on Fire)」をヒットさせました。ヴィック・ブリッグスはその後、エリック・バードン・アンド・ジ・アニマルズに加入しています。ロッド・スチュワートは、ジェフ・ベック・グループ、フェイセズを経て、ソロ・アーティストとして成功を収めました。

メンバー

ロング・ジョン・ボルドリー (Long John Baldry) - ボーカル
ロッド・スチュワート (Rod Stewart) - ボーカル
ジュリー・ドリスコール (Julie Driscoll) - ボーカル
ブライアン・オーガー (Brian Auger) - オルガン
ヴィック・ブリッグス (Vic Briggs) - ギター
リッキー・フェンソン (Richard Brown aka Ricky Fenson) - ベース
* ミッキー・ウォーラー (Micky Waller) - ドラム

伝説と誤解

フリートウッド・マックのピーター・グリーンとミック・フリートウッドがスティームパケットで演奏していたという都市伝説がありますが、これは誤りです。スティームパケットは、ロッド・スチュワートの脱退を除き、結成から解散までメンバーは変わっていません。グリーンとフリートウッドがロッド・スチュワートと共演したのは、ショットガン・エクスプレスという別のグループです。

スティームパケットは短命なバンドでしたが、そのメンバーの才能と音楽性は、後のブリティッシュ・ロック、ブルースに大きな影響を与えました。

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