ステファンGP

ステファンGP（Stefan Grand Prix）の概要

ステファンGPは、セルビアで設立されたレーシングチームで、歴史の中で特にF1世界選手権への参戦を目指した。2010年代に参戦を計画したものの、最終的にはその夢を叶えることはできなかった。

背景

ステファンGPの母体であるAMCOは、航空宇宙や軍事分野でのハイテクエンジニアリングを展開している企業で、これまでにはフォーミュラ・フォードやスポーツプロトタイプのギアボックスの製造実績があった。しかしレーシングチームとしての具体的な活動は行われていなかった。CEOであるゾラン・ステファノヴィッチがこのチームのオーナーとして名を連ねているが、F1参戦に関しては様々な問題や誤解が報じられ、特にAMCOの実績については虚偽の疑惑が持たれていた。報道によれば、同社がドイツ空軍の無人機開発や欧州宇宙機関に人工衛星ロケットの技術供与をしたと主張していたが、実際にはそのような事実は確認されなかった。ただし、AMCOとステファンGPはこれに対して反論し、誤解や憶測によるものであると主張した。

2011年以降、ステファンGPに関する情報は途絶え、公式サイトも閉鎖されてしまった。もしF1に参戦できていたなら、これは東欧圏初のF1チームとして歴史に名を刻むことになっただろう。

2010年の参戦計画

2010年の参戦計画の発端は、2009年にトヨタがFormula 1から撤退を宣布したことにさかのぼる。その際、トヨタのTMGファクトリーが後を引き継ぐ企業としてステファンGPが名前を挙げられた。しかし、この時点ではFIAがすでにザウバーをエントリーとして承認しており、出走枠は埋まった状態であったため、参戦の道は極めて厳しかった。

それでもステファノヴィッチはTMGを訪れ、会談を重ねて2010年用マシンTF110のデザインに関する権利を獲得したとし、2010年の参戦を目指す意向を示した。2010年1月29日にはTMGとの技術提携に基本合意を発表し、最終的にはドイツのケルンに拠点を設ける計画を持っていた。特に2010年に新規参戦を予定していたチームのいくつかは経済的な困難に直面しており、ステファンGPはその脱落を見越して参戦を進めていた。

ただ、マシンのテストが公式に認められておらず、またタイヤ供給企業のブリヂストンが難色を示したため、実際の行動には制約が存在した。全ての準備が整っているにもかかわらず、開幕戦を目指す準備のための資材は公表されていたものの、参戦権を得ることはついに叶わなかった。

その他の動き

その後、ステファンGPはUS F1との合併を試みても合意に至らず、結局は2010年の参戦が不可能になった。2011年にはさらなる参戦を目指す動きを見せたものの、申請を取り下げ、新たなサーキットとチームの本部を設ける計画もあったが、すべてが実現には至らなかった。

その後

以降もステファンGPは参戦計画を続けたが、資金難や契約の未確保などが重なり、結局はF1界に新たな足跡を残すことはできなかった。2014年から2017年までの間も新規参入を試みたが、結局は実を結ぶことはなかった。最終的に、ステファンGPはF1の舞台で活動を続けることができず、歴史に名を刻むことすらできなかった。

もう一度検索