ステルリタマク

ステルリタマク（Стерлитамак）

ロシア連邦、ウラル山脈の西側、ヨーロッパロシアに位置するバシコルトスタン共和国の主要都市。共和国の首都であるウファの南約130キロメートルに位置し、その人口規模（2021年時点で約27.7万人）はウファに次ぐ第二の規模を誇ります。都市はヴォルガ川水系に属する大きな支流、ベラヤ川の左岸に発展しており、市街地にはその名の由来となったステルリャ川が流れています。ステルリャ川は市街地の外れでアシカダル川と合流し、さらにその近くでベラヤ川に注ぎ込んでいます。都市名であるステルリタマクとは、バシキール語で「ステルリャ川の河口」を意味するとされています。地理的には、ウラル山脈南部の西麓に位置し、ウラルの分水嶺までは東へ約50キロメートルの距離にあります。南へ約21キロメートルにはイシンバイ、約29キロメートルにはサラヴァトといった近隣都市が存在します。

歴史

ステルリタマクの歴史は、18世紀半ばにはウファとオレンブルクを結ぶ街道沿いの一介の宿場に過ぎなかった時代から始まります。しかし、ベラヤ川上流域で岩塩の採掘が活発化すると、塩商たちはベラヤ川上流で採れた塩を集散するための港をこの地に建設することを決定しました。この港が完成した1766年が、ステルリタマクが都市として歩み始めた年とされています。その後、都市としての重要性を増し、1781年には正式に市の地位を獲得しました。翌1782年には、時の女帝エカチェリーナ2世によって市の紋章が定められています。20世紀初頭まで、都市経済は主にこの港を通じた塩の集散によって支えられていました。

20世紀に入り、ソビエト政権が成立すると、1919年から1922年にかけての短い期間、新たに設置されたバシキール自治ソビエト社会主義共和国の暫定的な首都がステルリタマクに置かれました。その後、首都はウファへ移転しましたが、この時期以降、ステルリタマクは工業化を推進する道を歩み始めます。1930年にはステルリタマク地区の中心地となり、1932年からは近郊での大規模な油田開発が開始されました。第二次世界大戦中には、ヨーロッパロシア西部の大都市から多くの重要工場（ソーダ・セメント工場、機械工具工場、靴工場など）や文化施設（ヴォロネジ・ドラマ劇場など）がウラル地方へ疎開してきましたが、ステルリタマクもその受け入れ地の一つとなり、これに伴い人口が急増しました。

戦後は、石油産業のさらなる拡大を背景に、周辺に新たな工業団地が次々と造成され、都市は急速に発展しました。1950年代には人口が10万人を突破するなど、目覚ましい成長を遂げましたが、同時に急速な工業化は深刻な環境問題も引き起こしました。しかし、ソビエト連邦崩壊後の1990年代には経済が低迷し、皮肉にもこれが環境悪化のペースを鈍化させる結果となりました。

経済

現代のステルリタマクは、バシコルトスタン共和国における主要な工業中心地としての地位を確立しています。特に石油化学工業が最も重要な産業であり、周辺地域で産出される原油を基に、多様な石油製品を精製・生産しています。石油化学関連以外にも、機械工業、建設資材を生産する建材工業、そして軽工業など、多岐にわたる産業が集積しており、都市経済を支えています。

交通

交通網については、共和国の首都ウファや南のオレンブルクといった主要都市との間に道路が整備されていますが、これらの都市間を結ぶ高速道路はまだ開通していません。鉄道もウファとオレンブルクを結ぶ路線がステルリタマクを経由していますが、路線は単線非電化であり、列車速度は限定的です。都市内部の交通手段としては、主にトロリーバスなどが市民の移動を担っています。

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