バシキール自治ソビエト社会主義共和国

バシキール自治ソビエト社会主義共和国は、ソビエト連邦時代に存在した自治共和国であり、現在のバシコルトスタン共和国の前身にあたります。

この共和国は、ヨーロッパ・ロシアの南東端に位置し、面積は約143,600平方キロメートルでした。東端はウラル山脈に接し、南端はカザフスタン国境から約70キロメートル離れています。

歴史を遡ると、13世紀にはジョチ・ウルスの支配下に入り、テュルク系の遊牧民であるバシキール人がこの地に定住しました。16世紀中頃にはロシア人が進出し、現在の首都であるウファの街を建設しました。その後、ロシア人による大規模な植民が進みましたが、これに反発するバシキール人の暴動が度々発生しました。19世紀になると、バシキール人は遊牧生活を放棄し、農業を中心とした生活様式へと移行していきました。伝統的な氏族制度は徐々に失われていきました。

宗教的には、イスラム教が多数派で、次いで正教が信仰されていました。1919年、ロシア内戦の激戦地となったバシキールは、共産党政権下で最初の民族自治共和国となりました。この地域は豊富な地下資源に恵まれており、石油、天然ガス、鉄鉱石、マンガン、銅、塩、建設用石材などが産出しました。ソビエト政府はこれらの資源を活用し、多様な重工業を建設しました。

1990年、共和国はソビエト連邦内での主権を宣言し、1992年には完全独立を宣言しました。しかし、1994年には共通領域の権限を認める条件で、ロシア連邦の法律に準拠することに合意しました。伝統的なバシキール人の生業である畜産や養蜂は、現在でも重要な経済活動として維持されています。

1995年の時点で、バシコルトスタンの人口は約400万人でした。1989年の人口構成を見ると、ロシア人が39%、タタール人が28%、バシキール人が22%、チュヴァシ人とマリ人がそれぞれ3%を占めていました。

バシキール自治ソビエト社会主義共和国は、ソ連時代に民族自治の試みが行われた地域であり、その歴史は現在のバシコルトスタン共和国へと受け継がれています。多民族が共存するこの地では、歴史的な背景から民族間の複雑な関係性も存在しました。

関連項目：バシコルトスタン共和国

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