ステロイド皮膚症

ステロイド皮膚症について

ステロイド皮膚症は、ステロイド外用薬の持続的な使用が原因で引き起こされる皮膚の異常を指します。この症状は、文献によって異なる呼称が用いられることがあり、例えば「ステロイド皮膚炎」や「ステロイドざ瘡」とも呼ばれます。また医薬品の添付文書には、「ステロイド皮膚」という用語が用いられ、酒さ様皮膚炎は含まれず、皮膚萎縮や毛細血管拡張が記載されています。

症状の概要

デルモゾール軟膏の医薬品の添付文書では、ステロイド皮膚およびステロイドざ瘡の症状について共通した説明が行われ、その中でステロイド酒さについても別途記載されています。1980年代に入ると、ステロイド皮膚症に注目が集まり、研究が進められました。この研究では、大阪大学医学部の皮膚科学教室の医師が「ステロイド皮膚症」として、ステロイド皮膚炎やステロイドざ瘡、また酒さ様皮膚炎の調査を行い、ステロイド外用薬の使用が患者に与える影響を分析しました。

さらに、鳥取大学医学部では、ステロイド酒さや口囲皮膚炎がステロイドの長期使用による「ステロイド皮膚炎」の主な症状であるとし、酒さ様皮膚炎には潮紅、毛細血管拡張、皮膚萎縮、紅色小丘疹などの現象が生じるとされています。外用薬を中止することによって、強い炎症が発生する可能性もあり、突然の中止は避けるべきです。

長崎大学医学部附属病院が実施した2003年の研究では、ステロイド皮膚症が顕著に現れる部位や症状に関するデータが示されました。顔の皮膚に84%、ほてりの症状に71%、毛細血管拡張が58%報告されるなど、アトピー性皮膚炎の患者においては、湿疹や接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎が多く見られることが特筆されました。また、主にミディアムクラスのステロイド外用薬が多く用いられる傾向があります。

ステロイド依存とその影響

「ステロイド依存」と呼ばれる状態においては、ニキビや酒さ、口周囲皮膚炎、毛細血管拡張といった症状が現れますが、外用薬の使用をやめると炎症やかゆみが強くなることがあります。これを「リバウンド」と呼び、ステロイド外用薬の中止が困難になる原因となるのです。

ガイドラインと注意事項

2018年に策定されたアトピー性皮膚炎のガイドラインでは、特に吸収率の高い部位（頬、頭、首、陰部）では長期間の使用を避けるように注意が促されています。また顔に関しては、ミディアム以下のステロイド外用薬の使用が推奨されています。部分的に皮膚の萎縮や毛細血管拡張、ステロイドざ瘡、潮紅、多毛が見られることがありますが、多くの場合は使用頻度を減らすことで症状が軽減します。ただし、酒さ様皮膚炎は主に顔に長期間使用されることで生じる副作用であり、急に使用を中止すると症状の悪化が見込まれるため、早期に皮膚科への受診が推奨されています。

このように、ステロイド皮膚症はさまざまな皮膚の問題を引き起こす可能性があり、適切な治療と管理が必要です。

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