ストラスモア＝キングホーン伯爵

ストラスモア＝キングホーン伯爵について

ストラスモア＝キングホーン伯爵（Earl of Strathmore and Kinghorne）は、イギリスの由緒ある伯爵位です。この爵位は、ライアン家という一族がスコットランドに移住し、グラームズの領主となったことに端を発します。ライアン家は1445年にスコットランド貴族としてグラームズ卿の爵位を得、その後1606年にはキングホーン伯爵に叙せられました。1677年には、キングホーン伯爵の爵位名がストラスモア＝キングホーン伯爵に変更され、1937年には連合王国貴族としての同名の爵位も創設されています。

起源と歴史

ライアン家の起源は、フランスのオート・ノルマンディー地方にあるリヨン＝ラ＝フォレ城であるとされています。彼らはノルマン・コンクエストの際にイングランドに移住し、当初は「de Lyons」という姓を名乗っていました。その後、「de」が削除されて「Lyons」となり、さらに一部の家系は「s」を取り除き「Lyon」と改姓したと伝えられています。一方で、ジェイムズ・バルフォア・ポールは、ライアン家がケルトを起源とする可能性も指摘しています。

ライアン氏族がスコットランドで興隆するきっかけを作ったのは、サー・ジョン・ライアン（1340頃-1382）でした。彼はスコットランド家令を務め、スコットランド王ロバート2世の娘ジーン・オブ・ステュワートと結婚し、持参金としてグラームズの所領を得ました。以降、彼の子孫はグラームズ城を中心に、ライアン氏族の領主として支配を確立しました。初代サー・ジョン・ライアンの息子（-1435）も、ロバート2世の孫娘にあたるエリザベス・グラハムと結婚しています。

爵位の変遷

初期のサー・ジョン・ライアンの爵位については諸説ありますが、ライアン家が明確に爵位を得たのは、2代目サー・ジョン・ライアンの息子パトリック・ライアンが1445年にグラームズ卿に叙任された時です。その後、7代グラームズ卿ジョン・ライアンは1537年にジェームズ5世の暗殺陰謀に関与したとして投獄されましたが、後に釈放され爵位を回復しました。9代グラームズ卿パトリック・ライアンは1606年にキングホーン伯爵に叙せられました。

1677年、3代キングホーン伯爵パトリック・ライアンは、爵位名をストラスモア＝キングホーン伯爵に変更。この時、従属爵位としてライアン子爵とグラームズ＝タナディス＝シドロー＝ストラスディッチティー卿が定められました。

その後の変遷

9代ストラスモア＝キングホーン伯ジェイムズ・ボーズは、イングランドの素封家ボーズ家の女子相続人と結婚し、ボーズ姓に改姓しました。10代伯ジョン・ボーズは、1815年に連合王国貴族の男爵位を得ましたが、子がいなかったため一代で廃絶しました。11代伯トマスは、ライアン＝ボーズの複合姓に改姓。13代伯クロードは、1887年に連合王国貴族の男爵位を再度得て、姓をボーズ＝ライアンに改めました。この13代伯の息子が、エリザベス2世の母であるエリザベス皇太后の父、14代伯クロード・ボーズ＝ライアンです。

14代伯は1937年に連合王国貴族のストラスモア＝キングホーン伯爵位を受けています。現在の当主は19代伯サイモン・ボーズ＝ライアンで、彼は複数の爵位を保有しています。居城はアンガス州のグラームズ城で、モットーは「主よ、我御身により頼みたり」です。

現当主の爵位

現当主サイモン・ボーズ＝ライアンは以下の爵位を保有しています。

第19代ストラスモア＝キングホーン伯爵（スコットランド貴族、1606年創設、1677年改名）
第6代ストラスモア＝キングホーン伯爵（連合王国貴族、1937年創設）
第17代ライアン子爵（スコットランド貴族、1677年創設）
第27代グラームズ卿（スコットランド貴族、1445年創設）
第17代グラームズ＝タナディス＝シドロー＝ストラスディッチティー卿（スコットランド貴族、1677年創設）
第7代ヨーク州ルーンデイル及びダラム州ストリートラム城のボーズ男爵（連合王国貴族、1887年創設）

歴代当主

歴代の当主は以下の通りです。

グラームズ卿 (1445年)
初代: パトリック・ライアン
2代: アレグザンダー・ライアン
3代: ジョン・ライアン
4代: ジョン・ライアン
5代: ジョージ・ライアン
6代: ジョン・ライアン
7代: ジョン・ライアン
8代: ジョン・ライアン
9代: パトリック・ライアン（キングホーン伯爵に叙爵）
キングホーン伯爵 (1606年)
初代: パトリック・ライアン
2代: ジョン・ライアン
3代: パトリック・ライアン（ストラスモア＝キングホーン伯爵に改名）
ストラスモア＝キングホーン伯爵 (1677年)
3代: パトリック・ライアン
4代: ジョン・ライアン
5代: ジョン・ライアン
6代: チャールズ・ライアン
7代: ジェイムズ・ライアン
8代: トマス・ライアン
9代: ジョン・ボーズ
10代: ジョン・ボーズ
11代: トマス・ライアン＝ボーズ
12代: トマス・ライアン＝ボーズ
13代: クロード・ボーズ＝ライアン
14代/初代: クロード・ジョージ・ボーズ＝ライアン（連合王国貴族ストラスモア＝キングホーン伯爵に叙爵）
15代/2代: パトリック・ボーズ＝ライアン
16代/3代: ティモシー・ボーズ＝ライアン
17代/4代: ファーガス・マイケル・クロード・ボーズ＝ライアン
18代/5代: マイケル・ファーガス・ボーズ＝ライアン
19代/6代: サイモン・パトリック・ボーズ＝ライアン

推定相続人は、現当主の弟ジョン・ファーガス・ボーズ＝ライアンです。

参考文献

森護『英国王室史事典』大修館書店、1994年

関連事項

ライアン家
ライアン氏族
グラームズ城
エリザベス・ボーズ＝ライアン

外部リンク

Glamis Castle

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