ストラット式サスペンション

ストラット式サスペンションの概要

ストラット式サスペンションとは、自動車などに用いられるサスペンションの一種であり、効率的でコンパクトな設計が特徴です。この方式はテレスコピックショックアブソーバーにバネと車輪を組み合わせた形状をしており、特に小型乗用車に最適とされています。1940年代後半にアール・S・マクファーソンによって考案され、その名を冠した「マクファーソン・ストラット」とも呼ばれています。1970年代以降はそのコストパフォーマンスの高さから、特に自動車業界で一般的に普及しました。

歴史

このサスペンション方式の開発はマクファーソンがゼネラルモーターズに在籍していた1940年代中頃に始まりました。新型小型車「シボレー・カデット」の開発に携わっていた彼は、サスペンションの革新を図りましたが、経営陣の反対によりカデットが市場に出ることはありませんでした。マクファーソンはその後フォードに移り、ブリティッシュ・フォードでこの方式を導入したことで、ストラット式サスペンションは広がりを見せました。

初めてマクファーソン・ストラットが商用車として採用されたのは1965年のホンダ・L700で、その後1966年にはトヨタ・カローラに用いられたことから、日本でも普及が進みました。近年では多くの中型以下の自動車がストラット式サスペンションを採用しています。

構造

ストラット式サスペンションは、主にショックアブソーバにバネを取り付けて構成されており、通常は車軸位置の固定のためにロワアームが用いられます。前輪や後輪の両方に適用可能ですが、後輪の場合は特にロワアームの長さや位置を考慮する必要があります。この構造により、車両の操縦性が向上し、より安定した走行が実現されます。

長所

• - コンパクトであるため、自動車設計の自由度が高い。
• - 部品点数が少なく、製造コストの削減が可能。
• - 大きな上下移動にも対応でき、走行安定性が確保される。

短所

• - 旋回時にクッションユニットの動きが制限されることがある。
• - アップライトとの剛結により、タイヤの接地が理想的でない場合がある。
• - 大型車や高出力車には適用が難しい。

異なるタイプ

ストラット式サスペンションには以下のようなバリエーションがあります。

• - マクファーソン式: 基本的なストラット式。
• - パラレルリンク式: トーコントロールが可能な2本のロワアーム。
• - デュアルリンク式: より精密な位置決めが可能なアーム構成。
• - リバースAアーム式: 特徴的なA形のロワアームを持つ。
• - チャップマン式: 軽量化を実現した特異な後輪懸架装置。

結論

近年の自動車において、ストラット式サスペンションはコストと機能のバランスの良い選択肢として幅広く用いられています。特にコンパクトカーや中型車においてはその利点を生かし、快適で安定した走行を実現する重要な要素となっています。今後も自動車技術の進化とともに、このサスペンション方式は一層の進化を遂げることでしょう。

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