ストラディバリウス

ストラディバリウス-弦楽器の傑作

ストラディバリウス（Stradivarius）は、イタリアの著名な楽器製作者アントニオ・ストラディバリが17世紀から18世紀にかけて製作した弦楽器群の名称です。特に彼の作品は、弦楽器の中でも特に高く評価され、演奏家にとって憧れの的となっています。ストラディバルリウスという名前が使われる場合は通常、楽器のことを指し、ストラディバリは製作者を指します。

ストラディバリの作成した楽器には、ラテン語で「Antonius Stradivarius Cremonenſis」と書かれたラベルが付けられています。このラベルは、クレモナで制作されたことを示しており、ストラディバリウスは他の弦楽器と区別されています。

ストラディバリウスの製作数と種類

ストラディバリウスの父子は、推定で約1100から1300の楽器を製作したとされ、現在約600が現存しています。最も多く製作されたのはヴァイオリンで、約520挺が今も残っており、次いでチェロやヴィオラも少数存在しています。マンドリンやギターについては数が限られています。

ヴァイオリン

ストラディバリウスのヴァイオリンは、バロック・ヴァイオリンと呼ばれるスタイルで、主に室内楽で使用されました。しかし、19世紀以降、音楽スタイルが変化し、これに伴って楽器製作の中心地がパリに移りました。この時期にはより華やかな音色を求める声が高まり、様々な変化が見られました。

ヴィオラ

ヴィオラはわずか8挺が現存し、その希少性からヴァイオリンの約2倍の高値がつくこともあります。ただし、その音色は評価が難しく、良い状態で残るものは非常に限られています。

チェロ

ストラディバリウスのチェロは63挺残っており、製作された当時は現代のものよりも大型でした。現在の一般的なチェロの型である「ストラド型」が誕生したのは彼の影響によるものです。

その他の楽器

マンドリンは2挺、ギターは5挺、ハープは1台が現存していますが、いずれも非常に数が少なく、特にギターの演奏可能なものは1679年製の1台のみです。

ストラディバリウスの価値

ストラディバリウスの楽器はオークションで高額で取引され、特に2011年に1589万4000ドルで落札された1721年製の「レディ・ブラント」が注目される逸話があります。日本人演奏家も高額で購入しており、特に高嶋ちさ子や千住真理子が有名です。

ただ、ストラディバリウスが高価であるからと言って、全てが高い音質を持つわけではありません。オークションでは見かけないが、直接取引されるユニークな楽器も多いです。

改造と補修

歴史的な経年変化や素材の変遷により、現存するストラディバリウスはさまざまな改造が施されています。特に金属弦の登場や、強化されたバスバーなど、音楽の進化に合わせて変わり続けています。

音色の秘密

ストラディバリウスの音質については長い間研究され、多くの知見が得られています。音色に影響を与える要因として、ニスの成分や板の厚み、木材の防腐処理などが挙げられますが、これらの研究は今も進行中です。

ストラディバリウスの物語

ストラディバリウスは多くの演奏家たちに愛用され、優れた演奏を提供しています。彼の楽器は、単なる道具ではなく、歴史と芸術の結晶として、次世代への架け橋となり続けています。特に彼の作品を使用した著名な演奏家には、ジャクリーヌ・デュ・プレやヨーヨー・マなどが名を連ねています。

結論

ストラディバリウスの楽器は、ただの弦楽器を越えた存在です。その美しさと音色は、音楽界での歴史的遺産として、多くの人々の情熱を喚起しています。これからも彼の素晴らしい楽器は、演奏者たちに特別な感覚と感動を与え続けていくでしょう。

もう一度検索