ヴィオラ

ヴィオラ（Viola）の概要

ヴィオラは西洋音楽において重要な役割を果たす弦楽器で、特に中音域を担当します。しばしば「Va」や「Vla」と略記され、通称ビオラとも呼ばれます。演奏者は「ヴィオリスト」として知られています。独奏楽器としての作曲は少ないものの、近代以降は多くの独奏曲が創作されています。

構造と大きさ

ヴィオラの構造はヴァイオリンに類似していますが、音域は五度低く、そのために全体が大きく、特に厚みが増しています。サイズにはばらつきがあり、一般的には390 mmから420 mmの範囲です。アントニオ・ストラディヴァリはコントラルトヴィオラとテナーヴィオラの2つの種類のヴィオラを製作しました。コントラルトヴィオラはおおよそ41 cm、テナーヴィオラは47 cmほどの胴長を持っています。

大きなヴィオラは音響的に有利ですが、演奏のしやすさとのバランスを保つため、演奏者は自分の体格と技術に合った大きさを選びます。日本では405 mm程度が人気ですが、世界的には410 mmが標準とされています。アメリカ合衆国では420 mm以上の大きなヴィオラが好まれる傾向があります。

調弦と記譜

ヴィオラの弦は、A線を基準にして完全五度ずつ調弦されます。音の高低はニ（D4）、ト（G3）、ハ（C3）の順で、ヴィオリンよりも完全五度低く、チェロよりは一オクターブ高いです。主にアルト記号で楽譜に記載されますが、高音部ではト音記号も使用されます。

演奏法

演奏法は基本的にヴァイオリンと似ていますが、楽器を肩に乗せ、顎で押さえて固定します。左手の指で弦を押さえ、右手で弓を使って音を出します。ヴィオラ用の練習曲や教本は多くがヴァイオリン用の楽曲を五度下げて編曲されたものを用いています。他の弦楽器と同様、一曲内で異なる楽器への持ち替えは少なく、次の曲でヴァイオリンと持ち替えることが一般的です。

主なヴィオラの作品

いくつかの重要な作品には、J.S.バッハの『ブランデンブルク協奏曲第6番』やテレマンの『ヴィオラ協奏曲ト長調』、シューマンの『おとぎの絵本』などがあります。また、ヒンデミットやブラームス、メンデルスゾーンといった作曲家も多様なヴィオラ作品を残しています。

ヴィオラの奏者たち

20世紀初頭以来、ヴィオラの独奏楽器としての地位を確立した演奏家が増えてきました。それまではあまり注目されていなかったヴィオラですが、現在では専門の奏者も多く、オーケストラや室内楽で重要な役割を果たしています。その一方で、多くの奏者はヴァイオリンと掛け持ちすることが一般的です。ヴィオラの魅力を最大限に引き出すために、さまざまな技術が模索されています。彼らの努力によって、ヴィオラはさまざまな作品の中で存在感を発揮しています。

結論

ヴィオラは、演奏者によってさまざまにアプローチされる独特の楽器です。音域や構造の特徴、演奏技術、歴史的背景を考慮することで、より深くその魅力を理解することができます。ヴィオラの独自性は、音楽の中での重要な役割を果たし続けています。

もう一度検索