ストリートコア

ジョー・ストラマー&ザ・メスカレロス『ストリートコア』

『ストリートコア』は、ジョー・ストラマー&ザ・メスカレロスが2003年に発表した3作目のスタジオ・アルバムです。ジョー・ストラマーが2002年12月に急逝したため、遺作としてリリースされました。

制作の背景

アルバムの制作は、ストラマーとザ・メスカレロスが2002年2月にロンドンのスタジオでジャム・セッションを行ったことから始まりました。このセッションで生まれたアイデアが、アルバムの核となっていきます。

「ロング・シャドー」とボブ・マーリーのカバー「リデンプション・ソング」は、音楽プロデューサーであるリック・ルービンの自宅でレコーディングされました。ルービン自身も「リデンプション・ソング」のプロデュースと演奏に参加しています。「ロング・シャドー」は、ジョニー・キャッシュとの共演経験もあるスモーキー・ホーメルとの共作で、元々はキャッシュに提供するために作られた楽曲でした。また、「リデンプション・ソング」は、キャッシュとストラマーが共演したバージョンも存在し、キャッシュのボックス・セット『Unearthed』に収録されています。

「シルヴァー・アンド・ゴールド」は、ボビー・チャールズが発表した「ビフォア・アイ・グロウ・トゥー・オールド」という曲を改題したカバーです。この曲は、前作『グローバル・ア・ゴー・ゴー』のレコーディング時に録音されていました。

2002年12月にはウェールズのスタジオでレコーディングが続けられましたが、ストラマーが急逝。残されたメスカレロスのメンバー、マーティン・スラットリーとスコット・シールズが、ストラマーの残したメモを元にアルバムを完成させました。

日本盤は世界に先駆けて発売され、ライブ音源4曲がボーナス・トラックとして追加収録されました。これらのライブ音源は、後にイギリスでシングル「コマ・ガール」のカップリング曲としてもリリースされています。

反響と評価

『ストリートコア』は、全英アルバムチャートで50位を記録。シングル「コマ・ガール」は全英33位、「リデンプション・ソング/アームズ・アロフト」は全英46位となりました。アメリカでは、ストラマーのソロ・プロジェクトとして初めてBillboard 200にチャートインし、最高160位、インディペンデント・アルバム・チャートでは11位を記録しました。

批評家からの評価も高く、『ガーディアン』紙のレビューでは5つ星満点の評価を得ています。「ジョー・ストラマーは、自分の遺作が感傷的に批評されることを嫌うだろうが、その必要はない」と評され、ザ・クラッシュの『ロンドン・コーリング』以来の傑作と評されました。また、allmusic.comでは、「メスカレロスの以前の作品がワールド・ミュージックやフォークに根ざしたのに対し、『ストリートコア』はロックン・ロールとヘヴィなレゲエに絞り込まれている」と評され、『ロンドン・コーリング』以降の彼の作品として最も優れており、最も凝縮された作品と評されています。

収録曲

1. コマ・ガール
2. ゲット・ダウン・モーゼス
3. ロング・シャドー
4. アームズ・アロフト
5. ラムシャックル・デイ・パレード
6. リデンプション・ソング
7. オール・イン・ア・デイ
8. バーニン・ストリーツ
9. ミッドナイト・ジャム
10. シルヴァー・アンド・ゴールド

日本盤ボーナス・トラック

11. ザ・ハーダー・ゼイ・カム（ライヴ）
12. ア・メッセージ・トゥ・ユー、ルーディー（ライヴ）
13. ヤラ・ヤラ（ライヴ）
14. 電撃バップ（ライヴ）

影響

「ラムシャックル・デイ・パレード」は、フランス映画『潜水服は蝶の夢を見る』のサウンドトラックに使用されました。

カバー

「アームズ・アロフト」は、パール・ジャムによってカバーされ、ライブ・アルバムに収録されています。

参加ミュージシャン

ジョー・ストラマー (ボーカル、ギター)
スコット・シールズ (ギター、ベース、ドラムス、パーカッション)
マーティン・スラットリー (オルガン、シンセサイザー、ピアノ、ギター、ドラムス、パーカッション)
サイモン・スタッフォード (ベース、コルネット、トロンボーン、ギター、チェロ)
ルーク・バレン (ドラムス、ドラム・ループ、コンガ)

『ストリートコア』は、ジョー・ストラマーの音楽的遺産を色濃く残した作品であり、彼のパンク精神と多様な音楽への探求心を今に伝える、重要なアルバムと言えるでしょう。

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