ストリート・レーサー (映画)

ロシア発カーアクション大作『ストリート・レーサー』：危険な速度と人間のドラマ

2008年、ロシアで公開された映画『ストリート・レーサー』（原題：Стритрейсеры、英題：Streetracers）は、ロシア初のカーアクション映画として大きな話題を呼びました。サンクトペテルブルクを舞台に、若者たちが繰り広げる命懸けの違法ストリートレース、そしてその裏に潜む危険な陰謀が、手に汗握る展開で描かれています。

疾走感あふれるカーチェイスと複雑な人間関係

物語の中心となるのは、ピンクのトヨタ・セリカを駆り、危険なレースに挑むカーチャです。彼女はストリートレースのボス、ドッカーの女として生活していますが、ドッカーの身勝手さに嫌気がさし始めていました。一方、カーチャのセリカを修理した自動車修理工のステパンは、誠実な人柄でカーチャの心を惹きつけます。

ステパンは元ロシア軍の戦車兵という経歴を持ち、旧ソ連製のGAZ M20を改造してレースに参加しますが、エンジントラブルで敗退してしまいます。しかし、ドッカーから赤いスバル・インプレッサWRXを借りてレースを続け、日産350Zとのデッドヒートを繰り広げます。このレースでインプレッサを大破させたステパンでしたが、それはドッカーが仕組んだ罠だったのです。

隠された陰謀と衝撃の展開

実はドッカーは、ストリートレースを隠れ蓑に、サンクトペテルブルクの高級車を盗んでCIS諸国に売りさばく裏ビジネスを行っていました。そして、その裏ビジネスには、サンクトペテルブルク警察の長官までもが関与していたのです。ステパンの優れたドライビングテクニックを見込んだドッカーは、彼を窃盗団に引き込もうと画策します。ステパンの弟ミシカも、ドッカーの愛人ローラと共に窃盗団に加わり、技術を提供します。

しかし、事態は思わぬ方向へ転がり始めます。裏ビジネスに嫌気が差したステパンの父親モホフが、長官に反旗を翻したのです。このことが原因でミシカは殺されてしまい、カーチャはドッカーに連れ去られてしまいます。怒りに燃えるステパンは、フェラーリ348tbに乗り込み、ドッカーを追いかけるクライマックスへと物語は進んでいきます。

多彩な車種と迫力のカーアクション

映画の見どころの一つは、多種多様な車種が登場する迫力満点のカーチェイスです。トヨタ・セリカ、日産350Z、スバル・インプレッサWRX、フェラーリ348tbなど、様々な車種が猛スピードでサンクトペテルブルクの街を駆け巡ります。旧ソ連時代の車GAZ M20が登場するシーンも印象的です。これらの車は、単なる小道具ではなく、登場人物たちの個性や物語の展開を象徴する重要な要素となっています。

音楽と文化

映画で使用されている音楽も、作品の魅力を高めています。ロシアのヒップホップグループ「44」や、フィンランドのロックバンド「The Rasmus」の曲が使用され、ロシアの若者文化が色濃く反映されています。映画のサウンドトラックは、ロシア国内で発売されていますが、日本での発売はされていません。

まとめ

『ストリート・レーサー』は、カーアクションの迫力、複雑な人間ドラマ、そしてロシアの文化が融合した、見応えのある作品です。スピード感あふれるカーチェイスと、予想外の展開に、最後まで目が離せません。 ロシア映画ファンのみならず、カーアクション映画好きにも強くおすすめできる作品です。

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