ストレート・エッジ

ストレート・エッジとは

ストレート・エッジ（Straight Edge、略称: SEまたはSxE）は、ロック音楽の一部として発展した思想やライフスタイルで、特にハードコア・パンクに関連しています。基本的な理念は、「喫煙しない」「麻薬を使用しない」「アルコールを摂取しない」「快楽目的のセックスをしない」というものであり、これらは従来の「セックス、ドラッグ、ロックンロール」という享楽的な価値観への反発を示しています。また、ストレート・エッジを実践する人々の中には、さらに「ヴィーガニズム」「カフェインを摂取しない」「処方薬すら使用しない」といった厳格なライフスタイルを選ぶ者もいます。

理念の背景

ストレート・エッジの理念は、特にイアン・マッケイによって提唱され、彼が関わったバンド「マイナー・スレット」の曲から「ストレート・エッジ」という呼称が生まれました。この思想は、ワシントンD.C.に起源を持ち、ハードコア・パンクのシーンと深く結びついています。ストレート・エッジに共感するミュージシャンやアーティストたちは、多くがこのライフスタイルを尊重し、音楽活動とは別にストレート・エッジを実践する場合もあります。

起源と発展

ストレート・エッジの起源は1980年、イアン・マッケイが在籍していたバンド「ティーン・アイドルズ」が西海岸ツアー中に、未成年であるためクラブでの演奏を拒否されたエピソードに遡ります。クラブオーナーとの妥協策として、彼らの手の甲に大きなバツ印（×）を描くことになり、この印が非アルコール・非ドラッグのシンボルとして広まることになりました。

その後、マイナー・スレットによる曲『STRAIGHT EDGE』や『OUT OF STEP』の歌詞により、「タバコや酒を避け、快楽のためのセックスを控える」という考えが広まりました。具体的には、マッケイ自身が周囲に見られる破滅の様子にうんざりし、それを歌詞に活かしたとされています。しかし、そのメッセージは当初の意図とは裏腹に、新たな同調圧力を生むこととなり、酒を飲んでいる観客に対する暴力も発生しました。

各界の支持者

ストレート・エッジはミュージシャンだけでなく、アーティストやスポーツ選手など、さまざまな分野に影響を与えています。著名な支持者としては、マイナー・スレットやフガジのメンバー、ロックシンガーのマイケル・モンローやコンヴァージのジェイコブ・バノン、さらにはプロレスラーのCMパンクなどがいます。

一方で、ストレート・エッジが本来意図していた自己制御や自己規律のメッセージが伝わるにつれて、教条的な解釈が発展し、一部の人々はその思想に強い違和感を抱くようになりました。マッケイ自身は、ストレート・エッジが教条的・宗教的な解釈をされることに対して懸念を示し、「元々の趣旨からずれている」と再三強調しています。これにより、ストレート・エッジの思想は、元々の目的から逸れる形で複雑な様相を見せています。

まとめ

ストレート・エッジは、ロック音楽と密接に関連したライフスタイルとして発展し、さまざまな理念や実践が生まれました。音楽のみならず、文化的な影響を与えるこの思想は、自己評価や倫理観について考えるきっかけを提供します。ストレート・エッジの支持者たちの多様性は、その理解が進む今後において、いかに重要な役割を果たすのか、注視する必要があります。

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