マイナー・スレット

マイナー・スレット（MINOR THREAT）は、1980年に結成されたアメリカのハードコア・パンクバンドです。ワシントンD.C.を拠点に活動し、その短い活動期間にも関わらず、後のハードコアシーンに計り知れない影響を与えました。バンドは、イアン・マッケイ（ボーカル）、ジェフ・ネルソン（ドラム）、ライル・プレスラー（ギター）、ブライアン・ベイカー（ベース）によって結成されました。

マイナー・スレットは、初期のハードコア・パンクのエネルギーと、ストレートエッジという禁欲的なライフスタイルを提唱したことで知られています。ストレートエッジとは、ドラッグ、アルコール、喫煙を拒否し、無分別な性交渉を避けるという思想です。この思想は、イアン・マッケイの歌詞を通じて広まり、多くの若者に共感を呼びました。

1981年6月にファーストEP『MINOR THREAT』、同年12月にはセカンドEP『IN MY EYES』をリリース。初期の作品は、そのスピード感とアグレッシブなサウンド、そして社会に対する批判的なメッセージで、ハードコア・パンクの新たな方向性を示しました。しかし、バンドは1981年末に一度解散します。

1982年4月に再結成後、1983年にはスティーブ・ハンセンがベーシストとして加入。ブライアン・ベイカーがギタリストに転向し、ツインギター体制となります。同年、サードEP『OUT OF STEP』をリリース。この作品では、音楽的な幅が広がり、より複雑な構成の楽曲も含まれるようになりました。しかし、1983年9月には再び解散。解散後には、EP『SALAD DAYS』がリリースされています。

メンバー

イアン・マッケイ (Ian MacKaye) (Vo)：ストレートエッジ思想の提唱者であり、Dischord Recordsの創設者。マイナー・スレット解散後、Embraceを経てFugaziを結成。ハードコアシーンにおいて最も重要な人物の一人。
ライル・プレスラー (Lyle Preslar) (G)
ブライアン・ベイカー (Brian Baker) (B/G)：ダグ・ナスティ結成後、バッド・レリジョンに加入。
スティーブ・ハンセン (Steve Hansgen) (B)：後にSECOND WINDを結成。
ジェフ・ネルソン (Jeff Nelson) (Dr)

作品

コンプリート・ディスコグラフィ (Complete Discography) (1989年)：ほぼ全ての音源を網羅したアルバム。『MINOR THREAT』、『IN MY EYES』、『OUT OF STEP』、『SALAD DAYS』からの楽曲を収録。
* ファースト・デモ・テープ (First Demo Tape) (2003年)：結成2ヶ月後に録音されたデモテープのリマスター版。長らく未発表だった貴重な音源。

マイナー・スレットは、短い活動期間でしたが、その音楽性とメッセージは、後のハードコア・パンクシーンに大きな影響を与えました。彼らの音楽は、現在でも多くの人々に聴かれ、その影響力は衰えることを知りません。

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