ストーム・フロント

『ストーム・フロント』は、1989年にビリー・ジョエルが発表したアルバムです。フォリナーのミック・ジョーンズをプロデューサーに起用したことで、新たな音楽的試みが見られます。ビリー自身もミックのソロアルバムに参加しており、その縁でジョー・リン・ターナーもゲスト参加しています。

アルバムのタイトルは、アメリカの海上気象警報旗に由来し、暴風警報を意味しています。ジャケット写真にもその旗が用いられ、ビューフォート風力階級の風力10から12、つまり風速24.5〜32.7m/sの暴風を象徴しています。

収録曲は以下の通りです（全曲ビリー・ジョエルの作詞作曲）。

1. (ザッツ)ノット・ハー・スタイル - "That's Not Her Style"
2. ハートにファイア - "We Didn't Start the Fire"
3. ザ・ダウンイースター"アレクサ" - "The Downeaster 'Alexa'"
4. 愛はイクストリーム - "I Go to Extremes"
5. シェイムレス - "Shameless"
6. ストーム・フロント - "Storm Front"
7. レニングラード - "Leningrad"
8. 愛する君に - "State of Grace"
9. ホエン・イン・ローマ - "When in Rome"
10. そして今は… - "And So It Goes"

特に「ザ・ダウンイースター"アレクサ"」は、ビリーの愛娘アレクサに捧げられた楽曲として知られています。

このアルバムは、ビリーにとって3作目の全米1位獲得作品となりました。また、第1弾シングル「ハートにファイア」も全米1位を獲得し、他にも「愛はイクストリーム」（全米6位）、「そして今は…」（全米37位）、「ザ・ダウンイースター"アレクサ"」（全米57位）、「(ザッツ)ノット・ハー・スタイル」（全米77位）といったシングルヒットが生まれています。

アルバム収録曲は、様々なアーティストによってカバーされています。「愛はイクストリーム」はポール・アンカが、『クラシックス・ソングス、マイ・ウェイ』で取り上げ、「シェイムレス」はガース・ブルックスが『Ropin' the Wind』でカバーしました。「そして今は…」は、キングズ・シンガーズや渡辺美里によっても歌われています。

参加ミュージシャン

ビリー・ジョエル - ボーカル、ピアノ、クラビネット、アコーディオン、ハモンドオルガン、ハープシコード、シンセサイザー、パーカッション
リバティ・デヴィート - ドラムス
デヴィッド・ブラウン - ギター
シューラー・ディール - ベース
ジェフ・ジェイコブス - シンセサイザー
クリスタル・タルフェロ - パーカッション、バッキング・ボーカル
ミック・ジョーンズ - ギター、バッキング・ボーカル
レニー・ピケット - サックス
ザ・メンフィス・ホーンズ - ホーン
ドミニク・コルテーゼ - アコーディオン
ドン・ブルックス - ハーモニカ
ジョン・マホニー - キーボード、キーボード・プログラミング
サミー・メレンディノ - エレクトリック・パーカッション
ケヴィン・ジョーンズ - キーボード・プログラミング
ダグ・クリーガー - サウンド・エフェクト
ビル・ザンピノ - コーラス・アレンジ
* アリフ・マーディン - オーケストラ・アレンジ

多くのミュージシャンが参加し、多彩なサウンドを構築しています。特に、ミック・ジョーンズの参加は、アルバムにロックの要素を色濃く反映させる要因となりました。また、豪華なバッキング・ボーカル陣も、アルバムの魅力を引き立てています。

『ストーム・フロント』は、ビリー・ジョエルのキャリアの中でも重要な作品であり、彼の音楽的多様性と才能を示すアルバムとして、今も多くのファンに愛され続けています。

もう一度検索