スナヤツメ

スナヤツメ（砂八目）とは

スナヤツメ（Lethenteron reissneri）は、ヤツメウナギ科に属する淡水魚です。原始的な魚類とされ、独特の形態と生態を持っています。

分布

スナヤツメは、九州以北（鹿児島県、宮崎県を除く）の日本各地、沿海州、中国北部、朝鮮半島に生息しています。河川の下流域を主な生息場所としています。日本に分布する個体群は、アロザイム解析の結果から「北方種」と「南方種」に分けられるという報告があります。

長崎県では、かつて絶滅したとみなされましたが、2022年に再発見され、絶滅危惧種指定を解除されました。

種分化

スナヤツメは、近縁種であるカワヤツメ（回遊型）の祖先種から、海洋との往来を阻害された矮小成熟個体が、非寄生性の河川型集団として独立し分化したと考えられています。

近年、日本産カワヤツメ属のヤツメウナギ類について、遺伝学的・形態学的再検討が行われ、2種の新種（ウチワスナヤツメ、ミナミスナヤツメ）が報告されました。これにより、キタスナヤツメ、シベリアヤツメ、カワヤツメと合わせて計5種が存在することが明らかになりました。

特徴

スナヤツメは、ウナギに似た外見を持ち、体長は約200mmまで成長します。幼生、成魚ともに7つの鰓穴があり、口は丸い吸盤状で顎はありません。成魚の口器は吸盤状で、内側に3対の歯があります。

近縁種のカワヤツメとは異なり、非寄生性で一生を淡水で過ごします。

食性

幼生期（アンモシーテス）は目がなく、ミミズのような外見で、デトリタスや藻類などを食べます。約4年後、秋になると成体に変態し、眼が現れます。しかし、消化系は退化し、産卵期を迎えるまでの間、何も食べません。春に産卵を終えると寿命を迎えます。

開眼

スナヤツメは、その一生のほとんどを閉じた状態で過ごし、産卵期にわずかに開眼するとされています。

人間との関わり

近年、水路のコンクリート化や谷戸の開発によって、生息数が減少しています。食用にはされていません。

スナヤツメは、その独特な生態と形態から、生物学的に貴重な存在です。生息環境の保護と研究が重要です。

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