沿海州

沿海州の歴史と文化

沿海州（えんかいしゅう）は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてロシア帝国が極東地域に設置していた州です。この地域は、現在のロシア連邦の沿海地方と呼ばれる地域にあたります。近年では、沿海州という語がそのままロシア領のこの地域を指す際に使われていますが、実際には現在の沿海地方と古代の沿海州は異なる行政区分であることを留意する必要があります。

地理的背景

沿海州は、歴史的には日本海の沿岸部およびシホテアリニ山脈の地域、さらにハンカ湖の近くの平地を含む広い範囲をカバーしていました。この地域は、豊かな自然環境を有し、資源も多様だったため、古代から人々の生活圏として栄えてきました。

初期の人類と文化

沿海州には、約3万年前から1万年前の間に最初の人類が住み着いたとされています。ウスリースク近郊で発見された旧石器時代の遺跡では、当時の人々が使った石器が見つかっています。特にパルチザンスキー地区の洞窟遺跡からは、マンモスやバイソン、サイなど様々な動物の骨が発見されており、これらは当時の人々が狩猟を行っていたことを示す証拠となっています。

新石器時代から青銅器時代への移行

新石器時代には、狩猟・採集から農業や牧畜を中心とした生活へとシフトしました。この時期には土器が出現し、磨製石器や弓矢など新しい道具も開発されました。さらに4000年前頃には青銅器時代に突入し、地域内での文化も多様化しました。シニ・ガイ文化やリドフカー文化などがこの時期に栄えました。

鉄器時代と粛慎

鉄器時代になると、この地域はしばしば中国の朝廷に朝貢する政権が存在していたと言われています。歴史書には「粛慎」という名が登場し、後の歴史においてもこの名称は記録に残ります。特に前漢時代以降には、粛慎に代わる名である「挹婁」が記載され、粛慎の名は引き続き用いられました。

渤海時代とその後

8世紀に入ると、この地域は渤海の版図に含まれていましたが、その後はアルタイ系民族の支配下に置かれます。そして、1860年の北京条約によってロシアが正式にこの地を領有することとなりました。

現在の沿海地方

現在の沿海地方は、ソビエト連邦の時代に分割され、南部が沿海地方、北部がハバロフスク地方の一部となっています。このため、近年でも沿海州という語は日常的に使われることがありますが、正式には異なる政治単位であることを理解することが重要です。沿海地方は現在もロシア連邦の重要な地域として位置付けられています。

沿海州の歴史は非常に多様で、さまざまな文化が交錯してきた地域です。独自の自然環境と共に、古代から現代に至るまで人々の営みが続いています。この地に関する研究は、今後も進められることでしょう。

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