スノーホワイト (1997年の映画)

『スノーホワイト：テラーの物語』：残酷で切ない、新たな白雪姫像

1997年、アメリカ合衆国で製作されたファンタジーホラー映画『スノーホワイト』（原題：Snow White: A Tale of Terror）は、お馴染みのグリム童話「白雪姫」を大胆に再解釈した作品です。アメリカではテレビ映画として放送されましたが、日本では劇場公開され、話題を呼びました。監督はマイケル・コーン、主演はモニカ・キーナとシガニー・ウィーバーといった実力派俳優が務めています。

物語：残酷性と愛の物語

物語の大筋は、誰もが知る白雪姫の物語を踏襲しています。しかし、本作ではグリム童話本来の残酷さが強調されており、従来の童話とは異なる、ダークで重厚な世界観が展開されます。

継母クラウディアの冷酷な企み、そして、森で出会うのはおとぎ話の「7人の小人」ではなく、「7人の金鉱掘り」たちです。特にリーダー格のウィルは、リリー（白雪姫）と複雑な愛を育み、その愛が、毒リンゴの呪いからリリーを救うという、意外な展開が待っています。キスではなく、愛の力で目覚めるという点も、従来の白雪姫像を覆す、本作ならではの解釈と言えるでしょう。

登場人物：それぞれの運命

主要登場人物は、原作の登場人物に対応していますが、性格や行動、そして運命は大きく異なっています。

クラウディア（王妃）： 継母として最初はリリーに優しく接しようとしますが、次第に憎悪を募らせ、様々な策略を巡らせます。彼女の冷酷さは、物語全体の陰惨さを際立たせます。
フレデリック・ホフマン男爵（父王）： 妻を亡くし、娘リリーを深く愛する父親。しかし、クラウディアの策略に巻き込まれ、苦境に立たされます。
リリー・ホフマン（白雪姫）： 継母の企みに気づき、自らの運命に立ち向かう勇敢なヒロイン。しかし、その運命は決して平坦ではありません。
ピーター・グーテンバーグ（王子）： リリーの婚約者であり、医師でもあります。クラウディアの策略に翻弄され、悲劇的な結末を迎えます。
グスタフ（猟師）： クラウディアの弟で、彼女の手先としてリリーを殺そうとしますが失敗し、命を落とします。
7人の金鉱掘りの男たち： それぞれに個性的な人物像が描かれ、中でもリーダー格のウィルとリリーの愛の物語が、本作の重要なテーマとなっています。ウィルの辛い過去や、金鉱夫たちの葛藤などが描かれ、物語に深みを与えています。

スタッフと評価

本作のスタッフには、監督のマイケル・コーンを始め、数々の才能が集結しています。脚本、製作、音楽、撮影、編集など、それぞれの分野のプロフェッショナルが、このダークファンタジーの世界観を構築しました。Rotten Tomatoesでの評価は、11件のレビュー中6件が高評価で、平均点は6.00点と、一定の評価を得ています。

まとめ

『スノーホワイト：テラーの物語』は、誰もが知る童話をベースにしながらも、その残酷性と愛の物語を鮮やかに描き出した、異色の作品です。おとぎ話としての甘美さとは異なる、大人向けのダークファンタジーとして、高い評価を得ています。伝統的な白雪姫像とは一線を画す、新たな解釈で描かれた本作は、観る者に深い印象を残すでしょう。

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