スバルコリア

スバルコリアの魅力と苦闘の歴史

スバルコリア（SUBARU Korea）は、かつて韓国市場におけるスバルの総輸入販売代理店として存在していました。この会社は、富士重工業（現在のSUBARU）の100%子会社として高麗製鋼（KOS）グループの傘下にありました。韓国においては、スバルの車両の流通や販売、さらにはサービス事業を展開することを目的に、2009年6月に設立されました。

設立の背景

韓国は、日本の自動車メーカーが輸入車市場で急成長を果たしている中で、スバルにとってもチャンスのある国でした。中型乗用車やSUVといった車両カテゴリーは人気を集めており、さらに韓国特有の厳しい気象条件や地形の影響を考慮すると、スバルが誇る4WD技術や水平対向エンジンを活かしたクルマ作りが強く求められている状況でした。これらの要因が、スバルコリア設立の大きな動機となりました。

業務開始と成長

スバルコリアは、2010年4月から韓国市場への本格的な参入を果たし、同年5月11日にはソウルの江南区、釜山、仁川などに計5ヵ所の営業拠点を設けました。最初の納車が行われたのはフォレスターで、江南のディーラーで行われた納車式にはスバルコリアの役員たちも参加しました。これにより、スバルブランドの認知度を高めていくことを目指しました。

起伏に富んだ運営

しかし、スバルコリアの運営は平坦な道ではありませんでした。2010年6月には、レガシィとアウトバックでリコールが発生し、影響を受けたのは31台という小規模なものでしたが、消費者に与える影響は大きかったでしょう。2011年にはソウルモーターショーに初めて出展し、ブランドのアピールを図りましたが、販売台数は伸び悩むこととなりました。

市場撤退

2012年12月26日、スバルコリアは韓国市場からの撤退を発表しました。2010年の販売台数は384台、2011年は664台、そして2012年（11月まで）で558台と、徐々に売上が悪化している状況でした。こうした販売不振を受け、2012年の年末にはすべての販売が停止され、わずか3年での撤退を余儀なくされました。ただし、サービス関連の事業は当面の間続けられることとなりました。

取扱車種

当初、スバルコリアが取り扱っていた車種は、レガシィ（レガシィB4）、アウトバック、フォレスターの3モデルでした。特にレガシィとアウトバックは、2.5Lおよび3.6Lの自然吸気エンジンのみでの提供が行われ、ターボ仕様はラインナップに含まれていませんでした。フォレスターについては、2.5Lモデルのみを輸入しており、他の2車種は北米からの輸入が行われていました。

過去の挑戦

実は1980年代と1990年代にもスバルは韓国市場への進出を試みましたが、いずれも計画は頓挫していました。スバルコリアは、先人たちが果たせなかった夢を追い求めた会社であり、短期間ではありましたが、その存在は韓国市場における自動車業界の一部となったことは確かです。

スバルコリアの歴史は、挑戦と困難の連続であったと言えるでしょう。特に、自社の強みである4WD技術や独特のエンジン設計を持ってしても、韓国市場の厳しい競争に打ち勝つことは容易ではなかったのです。

もう一度検索