スバル・トライベッカ

トライベッカ（TRIBECA）

トライベッカは、富士重工業（現在のSUBARU）が2005年から2014年にかけて製造・販売していたクロスオーバーSUVです。初代は「B9トライベッカ」という名称でしたが、2008年モデル以降は単に「トライベッカ」と呼ばれるようになりました。この車名は、ニューヨークのマンハッタン南西部に位置するトライベッカ地区からインスパイアされたものです。

概要

トライベッカの製造は、アメリカのインディアナ州にあるSIA工場で行われていました。販売は初めて米国とカナダを中心に行われ、その後2006年からはメキシコやヨーロッパにも広がりました。さらに、オーストラリアやタイ、イギリス向けに右ハンドル仕様も製造されていましたが、日本国内での販売は円安や成熟したSUV市場の影響で実現しませんでした。ただし、一部は並行輸入され、日本国内でも見ることができます。

トライベッカはスバル・レガシィとプラットフォームを共有していますが、リヤサスペンションは独自のダブルウィッシュボーン式を採用しており、優れた走行性能を発揮しています。乗車人数は7名に対応した3列シート仕様が基本で、5名の2列シート仕様も選択可能です。

また、トライベッカは富士重工業ならではのスポーティーなデザインが特徴で、航空機メーカーとしての知見を活かした「スプレッドウイングズグリル」や、インテリアデザインも採用されています。ただし、スプレッドウィングスグリルやヘッドライトのデザインは賛否が分かれており、インテリアは好評であった一方でフロントデザインについては厳しい意見も少なくありませんでした。

2007年のニューヨーク・オートショーでは、2008年モデルとしてフェイスリフトが発表され、個性的な外観が、より一般的なデザインへと変更されました。この際に車名もトライベッカに改められました。

エンジン

トライベッカの初代モデルは、レガシィシリーズに搭載されていた3.0L水平対向6気筒エンジン「EZ30」を搭載しており、出力は250HPを誇りました。しかし、マイナーチェンジにより、中低速でのパワー不足が指摘されたため、エンジンが変更され、排気量を拡大した新たな「EZ36」が採用されました。この新エンジンは3.6Lで、出力は256HPに向上し、使用燃料もレギュラーガソリンに変更されたことで、燃費の面でも改良が施されています。

その他の特徴

トライベッカの広告キャンペーンでは、米国でカンサスの「Dust In The Wind」がCMソングとして使用されました。また、この車両を基にしたSUVの「サーブ9-6」を、SAABブランドで発売する計画もありましたが、GMと富士重工の資本提携が解消されたことで、この計画は中止されています。興味深いことに、「サーブ9-6」のプロトタイプはスウェーデンのサーブ博物館に展示されています。

トライベッカは、その独自のデザインと優れた走行性能から、多くのファンを惹きつけましたが、最終的には日本市場での展開を断念せざるを得ませんでした。

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