スパルサートラの戦い

スパルサートラの戦い：13世紀スウェーデンの転換点

スパルサートラの戦いは、1247年にスウェーデンのエンシェーピング近郊スパルサートラで、当時の国王エリク11世とホルムイェル・クヌートソン率いる反乱軍との間で繰り広げられました。この戦いは、スウェーデンの歴史において資料が少ない時期の出来事であり、詳細については不明な点が多く残されています。

戦いの背景：王権と税制を巡る対立

当時、ウップランド地方の人々は、選挙によって王を選出する伝統を持っていました。人々は王に対し、税金を納める代わりに兵役や船の提供を行っていました。しかし、エリク11世は王権の基盤を安定させるため、兵役や船の提供によるレイダング制を廃止し、貨幣による課税制度を導入しようとしました。この改革と、十分の一税を要求する教会への反発が、戦いの大きな要因になったと考えられています。

一方、ヴェステルイェートランドの人々は、12世紀後半から十分の一税を支払い始め、ある程度の自治を行っていました。彼らがレイダング制に組み込まれていたかどうかは不明ですが、比較的早い段階で租税制度を受け入れていました。

また、1247年という年代は、スウェーデンのヤール職がウルフ・フォースからビルイェル・ヤールに移行する時期と重なります。ウルフ・フォースが戦いの前に亡くなったのか、あるいは反乱の中で戦死または処刑されたのかは定かではありません。さらに、かつてエリク11世を追放し一時的に王位を奪ったクヌート2世の息子、ホルムイェル・クヌートソンが王位を主張し始めたことも、事態を複雑にしていました。もしウルフ・フォースが反乱前に亡くなっていたとすれば、エリク11世に近いビルイェルにとっては、ホルムイェルとその支持勢力を一掃する絶好の機会だったと言えるでしょう。

戦場：スパルサートラ

スパルサートラは、エンシェーピングの北に位置しています。伝承によれば、戦いはスパルサートラ教会の西にある低湿地で行われたとされています。しかし、ホルムイェル軍は数キロメートル東のレネに野営し、そこで陣地を築いた可能性も指摘されています。

戦闘の様相：重騎兵の登場

スパルサートラの戦いは、中部スウェーデンにおいて初めて重騎兵が投入された戦いとして位置づけられています。国王軍の熟練した重騎兵は、ホルムイェル軍の農民兵を打ち破りました。当時の農民兵は、剣や投げ槍、槍、そしてヘルメットなどを装備していましたが、実際には剣や戦斧程度の装備しか持っていなかったと考えられています。

戦いの後：スウェーデンの変革

戦後、ホルムイェルは北方のイェストリークランドへ逃れましたが、捕らえられて斬首されました。エリク11世は、当時の慣習に従いホルムイェルの葬儀に参列し、その死を悼んだと伝えられています。しかし、敗れたウップランドの人々の中には、ホルムイェルを聖人として崇める動きも起こり、彼の死後数年後には、ホルムイェルの名が付いた奇跡がデンマークにまで伝わったと言われています。

1247年、教皇特使モデナのヴィルヘルムがスウェーデンを訪れ、ビルイェル・ヤールと会見しました。ヴィルヘルムは、ビルイェルが抗争の調停を依頼してきたと報告しています。そして1248年3月には、停戦合意が成立しました。これは、スウェーデン全土をカトリックの元に統合するための会議を指していると考えられています。

ウップランドの人々は、他の地域と同様に納税を義務付けられ、レイダング制は衰退に向かいました。新しい税制は、ウップランド法にも記載されました。安定した税収によって、スウェーデン王は重騎兵軍団を整備し、強固な支配体制を確立することに成功しました。

その後、マグヌス3世が一部の戦士階級への課税を免除したことで、中世スウェーデンにおける貴族階級が誕生しました。彼らは騎士に十分な装備を施せるほどの富を手に入れ、スウェーデン軍の中核を担うようになったのです。

スパルサートラの戦いの結果は、アイスランドやデンマークの年代記には悪名高いものとして語られていますが、スウェーデンでは伝説として17世紀まで語り継がれました。ウップランドの人々は、周辺地域から貢納を徴収する立場から、王に貢納する存在へと変わったのです。

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