スパルタクス団

スパルタクス団：ドイツ革命の先駆け

スパルタクス団（ドイツ語: Spartakusbund）は、1915年から1918年にかけて存在した、ドイツにおける急進的なマルクス主義者の政治組織です。ドイツ社会民主党（SPD）内の左派グループとして始まり、後にドイツ共産党（KPD）へと発展しました。その名称は、古代ローマの奴隷反乱を率いたスパルタクスの名に由来します。

スパルタクス団の成立

ドイツ社会民主党内の対立

第一次世界大戦勃発時、ドイツ社会民主党は政府の戦時公債を支持しました。これに対し、カール・リープクネヒト、ローザ・ルクセンブルク、フランツ・メーリング、クララ・ツェトキンといった党内左派は、公然と反対を表明しました。彼らは「労働共同体」の支持者と「グルッペ・インターナツィオナーレ」（国際グループ）に分かれ、後者は1916年初頭に独自の全国協議会を開き、ルクセンブルクが起草した指針を採択し、独自の刊行物を発行することを決定しました。

スパルタクス書簡の発行

この非合法の冊子は「スパルタクス書簡」と呼ばれ、そのペンネームとして「スパルタクス」が用いられました。これにより、「グルッペ・インターナツィオナーレ」は「スパルタクスグループ」として知られるようになります。主要メンバーが逮捕・拘禁されていたため、スパルタクス書簡の維持と配布はレオ・ヨギヘスが担当しました。ヨギヘスは組織者・編集者としての才能を発揮し、警察の追及をかわしながら冊子の販売部数を伸ばし、グループの連絡を維持しました。

戦術と理論

ローザ・ルクセンブルクの理論

ローザ・ルクセンブルクは、スパルタクス団の主要な理論家でした。彼女は、プロレタリアートによる権力獲得を目的とした労働者による祖国防衛というプログラムを展開する一方で、ブルジョア国家の戦争は支持できないと考えていました。ルクセンブルクは、帝国主義の時代における戦争は大資本の競争から生じるとし、ドイツの勝敗に関わらず労働者にとって有害であると主張しました。彼女は、労働者は民族戦争を拒否し、革命によって権力を握ることによってのみ救われると訴えました。

ルクセンブルクは、権力奪取の方法や革命後の組織については明確な記述を残していません。彼女は、ボリシェヴィキのような「党の独裁」を批判し、大衆の自然発生的な行動を重視しました。このため、1918年11月のドイツ革命勃発時、スパルタクス団の指導者たちは準備不足の状態にありました。

ロシア革命からドイツ革命へ

ロシア革命の影響

スパルタクス団は、1917年のロシア革命を熱烈に歓迎し、世界大戦が世界革命に転化し始めたと判断しました。スパルタクス書簡は、大衆に革命を促しましたが、期待されたほどの効果は得られませんでした。1918年1月のストライキ集会に代表を送ることもできず、一般労働者の関心は「平和と民主主義」のスローガンにとどまりました。

ドイツ革命とドイツ共産党の成立

1918年11月4日、キール軍港の水兵蜂起をきっかけにドイツ革命が勃発しました。スパルタクス団はこの事態に不意を突かれました。11月10日には、多数派社会民主党と独立社会民主党の連合が成立し、スパルタクス団は反対派として党外に留まりました。そして、ベルリンの独立社会民主党内に形成されていた急進左派「革命的オプロイテ」と接近しました。ヴァイマール共和国政府への反対運動を続ける中、12月6日にはベルリンで共和国軍がスパルタクス団のデモ隊に発砲し、16名の死者を出す事件が発生しました。

12月30日、ベルリンでスパルタクス団の党大会が開催され、独立社会民主党から正式に分離し、「ドイツ共産党」（KPD）が結成されました。

関連項目

スパルタクス
スパルタクス団蜂起（1919年1月）
ドイツ共産党

外部リンク

スパルタクス綱領 - ローザ・ルクセンブルク起草

もう一度検索