スパロー (ミサイル)

スパロー (AIM-7)

スパロー（Sparrow）は、アメリカのレイセオン社が開発した中射程の空対空ミサイルで、正式にはAIM-7と呼ばれています。このミサイルは、セミアクティブ・レーダー・ホーミング（SARH）技術を用いており、視程外射程（BVR）での運用が可能です。スパローは、アメリカ空軍、海軍、日本の航空自衛隊を含む多くの西側諸国の軍で広く使用されていますが、近年では新たな技術を備えたAIM-120 AMRAAMや99式空対空誘導弾にその役割を徐々に取って代わられています。

開発の背景

スパローの開発は、第二次世界大戦の終わりにさかのぼります。アメリカ海軍が提示した「ビームライディング方式による空対空兵器」の要求を受けて、1946年にプロジェクトホットショットが始まりました。このプロジェクトでは、305メートルから1830メートルの射程でマッハ1の目標を狙う兵器の開発が求められました。1947年には、スペリージャイロスコープ社が技術的な提案を行い、従来の5インチ弾体よりも大きな8インチ弾体の採用が推奨されました。

その後、開発は続けられ、1951年にはAAM-N-2として制式採用が決定されましたが、初期モデルは望ましい命中率を発揮することができず、開発元であるダグラス・エアクラフト社が改善に取り組みました。1958年にはセミアクティブ誘導方式を取り入れたAAM-N-6（後のAIM-7C）の実用化が実現しました。

運用と実績

スパローは、ベトナム戦争中にアメリカ空軍のF-4戦闘機に搭載され、実戦に投入されましたが、いくつかの問題に直面しました。電子機器の信頼性が低下したことや、飛行機の点検不足、誤射などが命中率の低下を招き、実質10パーセントにも満たないヒット率となってしまいました。一方で、湾岸戦争では電子機器の進化とベトナム戦争からの教訓が活かされ、高い命中率で敵機を撃墜する成果を上げました。

型式と改良

スパローは、幾つかの型式に分かれています。その中で、最初のAIM-7Aは1951年に制式化され、ダグラス社が開発を行いました。しかし、誘導方式の限界から命中率が低く、次に開発されたAIM-7Bはアクティブレーダー式に改良されましたが、結局は制式化されぬまま開発が中止されました。その後、AIM-7Cはおもにセミアクティブ・レーダー・ホーミング技術を搭載し、他のモデルも同様に改良が進められました。

映画やゲームに登場

スパローは様々な映画やゲームに登場しており、代表的な作品には映画『ガメラ2 レギオン襲来』や『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』があげられます。また、アニメ『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』やゲーム『エースコンバットシリーズ』でもスパローが武装として使用されています。

結論

現代の空対空ミサイルの中でも歴史的な意義を持つスパローは、アメリカ軍やその同盟国において重要な役割を果たしてきました。その進化と使用実績は、空対空戦闘の技術向上に寄与し続けています。

もう一度検索