ダグラス・エアクラフト

ダグラス・エアクラフト社の歴史

ダグラス・エアクラフト社（Douglas Aircraft Company）は、アメリカにおいて航空機の設計・製造を行っていた名門メーカーです。その創設は1920年にさかのぼり、創立者であるドナルド・ウィルズ・ダグラスが自身の会社を設立したことから始まります。彼はマサチューセッツ工科大学を卒業後、グレン・マーチンでチーフエンジニアを務めていましたが、独立してサンタモニカでダグラス社を立ち上げました。

1921年に社名をダグラス・エアクラフトに変更した後、同社は早くも1924年に「ダグラス ワールド クルーザー」を開発し、世界初の世界一周飛行を達成します。この成功は社名を広めるきっかけとなり、同社は「世界初の世界一周」をキャッチフレーズに掲げ、独特なロゴを使用するようになりました。このロゴは後にボーイングにも引き継がれ、航空業界における象徴的なものとなりました。

当初、ダグラス社はアメリカ海軍向けに雷撃機を製造していましたが、その後は偵察機や民間航空機など、さまざまなタイプの航空機を開発し、短期間で年産100機以上に達しました。初期のメンバーには、後に名だたる航空機メーカーのリーダーとなったエド・ハイネマンやジャック・ノースロップなどが在籍していました。

1920年代と30年代の拡大

1920年代末には軍用機市場での地位を築き、水陸両用機の開発にも乗り出しました。工場はサンタモニカのクローバーフィールドに移転し、広大な施設を利用して多くの航空機を生産しました。1933年には民間用の双発機DC-1を製造し、1934年にはDC-2、続いて1936年にはDC-3を発表します。特にDC-3は大ヒットを記録し、民間航空機としての地位を確立するだけでなく、軍のC-47スカイトレインの基盤にも成りました。

これらのダグラス製航空機は非常に耐久性が高く、21世紀に入った現在でも多くの機体が現役で使用されています。

第二次世界大戦とさらなる成長

第二次世界大戦は、ダグラス社にとって大きな成長を促しました。戦争中、同社は西海岸を中心に多くの工場を持ち、約3万機もの航空機を生産しました。また、従業員数も16万人に膨れ上がりました。ダグラス社は旅客機だけでなく、米軍向けに戦闘機や輸送機、偵察機など多様な航空機を製造し、その技術力は高く評価されました。特に、艦上爆撃機SBD ドーントレスや、A-20 ハヴォックといった機体が著名です。

合併と吸収

戦後の1967年、ダグラス社はマクドネル・エアクラフト社と合併し、マクドネル・ダグラスとして新たなスタートを切ります。これは、ベトナム戦争による資材不足や品質管理の問題からの脱却を図るためでした。その後、1997年にはボーイング社に吸収され、ダグラス製航空機は製造の波が収束します。最後の民間機であるボーイング717（DC-9の派生型）も2006年に生産を終了しましたが、ダグラス社の名を冠した名機の数々は、今なお航空史に名を刻んでいます。

代表的な製品

ダグラス社が製造した航空機は多岐にわたります。初期のモデルであるクラウドスターから始まり、歴史的に重要なDCシリーズ（DC-1、DC-2、DC-3、DC-4、DC-6、DC-8、DC-9、DC-10など）、軍用機ではB-17やB-47なども手がけました。さらに、ミサイルやロケットに関しても多くの成功を収めており、航空業界のイノベーションに大きく貢献してきました。ダグラス・エアクラフト社の歩みは、アメリカの航空史においてなくてはならない一ページです。

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