スパンエアー5022便離陸失敗事故

スパンエアー5022便離陸失敗事故

概要

スパンエアー5022便離陸失敗事故は、2008年8月20日にスペインのマドリード＝バラハス空港で発生した航空事故です。この事件は、スパンエアー5022便（JK5022便）がカナリア諸島のグラン・カナリア空港へ向けて離陸しようとした際に発生しました。機体はマクドネル・ダグラスMD-82で、乗員・乗客合わせて172人が搭乗していました。

事故の詳細

5022便は、マドリードからカナリア諸島への国内便で、対象の航空機は1988年に設立されたスパンエアーが運航していました。乗客の多数はバカンス中の人々で、特に家族連れが目立ちました。事故時の環境は天候も良好であり、離陸の準備は整っているように見えました。

事故は現地時間の14時14分に発生し、滑走路を離れてわずか数秒後、機体は右に傾いて滑走路横の空港敷地内に墜落しました。機体は二つに裂け、続いて発生した爆発により炎上しました。救助活動により26人が救出されましたが、その後重傷を負った6人が病院搬送中に亡くなり、最終的に162人中154人がこの事故で失われました。生存者の多くは、機体の炎上から逃れられた理由として、空港敷地内にある小川で発見され、その水に浸かっていたことが挙げられました。

事故原因

事故原因については、出発前にエンジンに異常が生じ、一旦は出発ゲートに戻られ点検されることになったという情報があります。しかし、その後、機体変更を行わずに離陸に入ったとの報道もあり、適切な点検が行われたかが疑問視されました。さらに、スパンエアーは当時、機体トラブルが頻発していたとの報告もあり、これが人為的要因の可能性を議論する一因となっています。

最終的に、スペイン航空事故調査委員会（CIAIAC）の調査により、5022便はフラップを展開せずに離陸しようとしており、その異常が警報として提示されていなかったことが確認されました。さらに、フラップとスラットが格納されたまま離陸しようとしていたことが事故の直接的な原因とされ、チェックリストの確認が不十分だったことが問題視されました。

機体の履歴

事故に用いられたMD-82は1993年に製造され、大韓航空に渡った後、1999年にスパンエアーに売却されました。事故後の調査により、この機体が安全に運航されていたかが問われることになりました。

関連項目

この事故は、同じくフラップを展開せずに離陸を試みた他の航空事故に共通した問題点を持っており、航空業界における安全性の向上につながる教訓を残しました。また、本件事故はスペイン国内での航空事故としては1985年のイベリア航空610便墜落事故以来の大惨事となりました。
さらに、この事故に関連したテレビ番組やドキュメンタリーもあり、多くの人々に深い影響を与えました。

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