スパンエアー

スパンエアー（Spanair S.A.）

スパンエアーは、かつてスペインのマヨルカ島パルマ・デ・マヨルカに本拠地を置いていた航空会社です。スターアライアンスの元メンバーでしたが、2012年1月に運航を停止し、会社は消滅しました。ここでは、その概要、歴史、就航路線、保有機材、そして事故について詳しく解説します。

概要

スパンエアーは、スペイン国内、ヨーロッパ内、そして西アフリカに定期旅客便ネットワークを提供していました。また、国際的なチャーター便もツアー会社向けに運航していました。主要なハブ空港は、アドルフォ・スアレス・マドリード＝バラハス空港（MAD）、バルセロナ・エル・プラット国際空港（BCN）、そしてパルマ・デ・マヨルカ空港（PMI）であり、2535人のスタッフを抱える大規模な航空会社でした。

歴史

スパンエアーは、1986年12月にスカンジナビア航空（SAS）とViajes Marsansの合弁会社として設立され、1988年3月に運航を開始しました。当初はヨーロッパ地域へのチャーター運航が中心でした。

1991年にはアメリカ合衆国、メキシコ、ドミニカ共和国への長距離路線の運航を開始し、1994年3月には国内線定期運航もスタートしました。1990年代後半には、ボーイング767-300ER型機を使用してワシントンやブエノスアイレスへの長距離路線も運航していました。2003年にはスターアライアンスに加盟し、国際的なネットワークを拡大しました。

マイレージプログラムは、大株主であるスカンジナビア航空の「SASユーロボーナス」には統合されず、独自の「スパンエアープラス（Spanair Plus）」を運営していました。

スパンエアーの株主構成は、スカンジナビア航空グループ（94.9%）とMarsansグループ（5.1%）でしたが、2008年にスカンジナビア航空は株式売却を決定。イベリア航空が買収に意欲を示したものの、実現には至りませんでした。その後、2009年1月31日にスペインの投資コンソーシアム・Iniciatives Empresarials Aeronàutiques（IEASA）が株式の80.1%を取得し、残りの19.9%はSASが保持することになりました。

2012年1月27日、スパンエアーは全便の運航を停止しました。その後、同年1月30日にはマドリード首都裁判所より破産宣告と会社清算命令が下され、事実上倒産。スターアライアンスからも脱退しました。スパンエアーの破産の1週間後には、マレーヴ・ハンガリー航空も運航を停止しており、航空業界における激動期を象徴する出来事となりました。

就航路線

スパンエアーは、以下のような都市に就航していました（2005年1月時点）。

国内線定期便就航地：
ア・コルーニャ、アリカンテ、アストゥリアス州、バルセロナ、ビルバオ、フエルテベントゥーラ、イビサ、ランサローテ、ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア、マドリード、マラガ、パルマ・デ・マヨルカ、サンティアゴ・デ・コンポステーラ、セビリア、テネリフェ、バレンシア、ビーゴ

国際線定期便就航地：
アンコーナ、アテネ、ベルリン、ケルン、コペンハーゲン、ダブリン、エディンバラ、フランクフルト・アム・マイン、リスボン、ロンドン、マラボ、ミュンヘン、ニース、オスロ空港、パリ、ストックホルム、テッサロニキ、ウィーン、チューリッヒ

保有機材

スパンエアー・グループの機材は、2008年時点で以下の航空機で構成されていました。

エアバスA320-200型機 19機
エアバスA321-200型機 5機
ボーイング717型機 3機
マクドネル・ダグラスMD-81型機 1機
マクダネル・ダグラスMD-82型機 9機
マクダネル・ダグラスMD-83型機 13機
マクダネル・ダグラスMD-87型機 11機（SASからのリース機も含む）
フォッカーF100型機 3機

事故

2008年8月20日、マドリッド発グラン・カナリア行きJK5022便（MD-82型機）が離陸に失敗し、乗客乗員172名のうち154名が死亡、18名が負傷するという大惨事となりました。この事故はスパンエアーにとって最初で最後の死亡事故となり、航空業界に大きな衝撃を与えました。事故機にはスターアライアンスの塗装が施されていました。

スパンエアーは、その短い歴史の中で、様々な挑戦と変化を経験しましたが、最終的には破産という形で幕を閉じました。しかし、その足跡は航空業界における貴重な教訓として、今もなお語り継がれています。

脚注

Spanair（英語版）
SAS Group（英語版）

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