スピリット・オブ・コミュニケーション

スピリット・オブ・コミュニケーション

スピリット・オブ・コミュニケーション（Spirit of Communication）は、AT&Tが長年にわたってその象徴として掲げてきた魅力的なブロンズ像です。この像は、通信の進化を体現しており、背中に羽を持ち、右手には電話線の束、左手には電波を象徴する稲妻を抱えた姿をしています。

この像は1916年に完成し、当初は「電信の守護神」（Genius of Telegraphy）と呼ばれていました。その後、社名や事業の変更に伴い「電気の守護神」（Genius of Electricity）へと名称が変わり、最終的に現在の「スピリット・オブ・コミュニケーション」に至りました。また、 informalには「ゴールデンボーイ」とも称され親しまれています。

歴史的背景

スピリット・オブ・コミュニケーションのデザインは、1914年にAT&Tによって公募されました。デザインのコンペを経て、選ばれたのはイヴリン・ベアトリス・ロングマン氏であり、彼女が手がけた像はシンボリックでありながらも力強い印象を与える作品です。完成後、この像はニューヨーク市のAT&T本社ビルの屋上に設置され、高さ7.3メートル、重さ14.5トンに及ぶ壮大なスケールを誇ります。さらに、その美しさは12,500枚以上の金箔で飾られ、自由の女神像に次いでニューヨークで二番目に大きい像となりました。

像の名前が「電信の守護神」としてメジャーデビューした時期、AT&Tの社長であったセオドア・ニュートン・ヴェイル氏による命名が大きな影響を与えました。その後、AT&Tが電信部門を分社化したことを機に、名前を変更しました。さらに、1930年代半ばには「スピリット・オブ・コミュニケーション」に改名されています。

1984年にはAT&Tが新たな本社をマンハッタンに移転する際、像も共に新しい本社ビルのロビーに配置されることとなりました。しかし、その後AT&Tの社名変更や組織再編を経て、同年には社名とともに大規模な変革が行われました。新本社には像を収める空間がなかったため、一時的にニュージャージー州バスキング・リッジに置かれることになりました。

像の移転は続き、2002年にはベッドミンスターに移され、AT&Tの長距離部門の拠点がそこにあったことが影響しています。2005年にはサウスウェスタン・ベルがAT&Tを買収し、社名はAT&Tインクへと改称されます。2008年には新たにテキサス州ダラスに本社を移転し、2009年にはこの像が再び新本社の玄関口に設置されることになりました。

そして、2019年にはダラスのAT&Tディスカバリー地区に像が設置され、今ではその地区の名物となっています。スピリット・オブ・コミュニケーションは、AT&Tのブランドアイコンとしてただの像以上の存在となり、通信を通じて人々をつなぐ役割を果たし続け、時代の変化に寄り添ってその姿を変えてきたのです。

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