電信

電信（でんしん）

電信は、符号を用いて情報を送受信する電気通信技術です。近代の通信手段として、主に有線と無線の二つの形式があり、モールス符号に代表されるように符号化されたデータによって情報が伝達されます。

概要

広義には、電気を利用した有線・無線の通信全般を指し、音声通信に対しては「電話」という言葉が使われますが、電信は特に符号による通信に関連します。また、印刷電信（例：ティッカー・テープやテレタイプ）などの形式も存在します。現代のデータ通信は、音声信号をデジタルデータに変換して行うことが一般的で、これにより電信技術は進化を遂げています。

歴史

電信技術の発展は、17世紀からおよそ200年にわたる多くの実験と改良の結果始まりました。1746年、フランスの科学者ノレーが大規模な実験を行い、電気の伝送速度の速さを実証しました。1790年代から1800年代初頭にかけて、様々な電気的要素が通信に応用され、電信の基礎が築かれていきました。

1816年、ロナルズにより初の電信システムが完備され、さらに1820年にはエルステッドが電気の磁気的特性を発見。こうした研究が進む中で、電磁石を利用した電信機が1832年に完成しました。

シリングが開発した技術は、送信機がキーを押すことで受信局に信号を送り、対応する針が動く仕組みでした。彼はこの電信に初めてバイナリ符号化方式を導入し、導線の本数を減少させることに成功しました。

1833年には、ガウスとウェーバーが共同開発した電信機が誕生し、高感度な測定器が導入され、通信の可能性が広がりました。

モールス式電信の登場

モールス式の電信は1836年にアメリカでサミュエル・モールスとアルフレッド・ヴェイルによって開発されました。このシステムは、比較的低品質の導線でも長距離の補送を可能にする設計が特徴的です。モールス符号はアルファベットを点と線で表現する方法で、1844年には公式にワシントンD.C.とボルチモア間に電信線が敷設され、最初の公式なメッセージが送られました。

世界的な普及と影響

1850年代から1860年代にかけ、電信技術は急速に広まり、南極を除く世界中の各大陸へと通信網が張り巡らされました。特に戦争の情報伝達において、電信は迅速な情報共有を可能にしました。この技術の発展により、新聞社は互いに場所を競い合う中、通信社が設立され、報道の質も向上しました。

日本においては、1854年に米国から贈られたモールス電信機が初めて使われ、1869年には横浜と東京を結ぶ電信回線が敷設されました。明治政府は全国に電信網を整備し、外交や戦争においてもその利用が促進されました。

現代の通信と電信の変遷

20世紀に入ると電話の発展により、電信の役割は次第に薄れていきました。日本でも1976年に電報の取扱いが終了し、21世紀には祝電や特別な使い方に特化する形となりました。現在では、インターネットを介して様々な通信が行われており、電信は歴史的な通信手段としての位置付けがされています。

電信はいわば「ビクトリア朝のインターネット」とも呼ばれ、情報の流通を革命的に変え、現代の情報社会における多様な通信手段の礎を築きました。

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