スピードスキー

スピードスキーの魅力と歴史

スピードスキーは、スキー競技の中でも特にスピードを重視した競技で、急な斜面を下りながらその速度を競います。この競技は、静止している状態から滑り出し、所定の距離を直滑降で滑走し、その間の平均速度が計測されます。これにより、最も速い速度を出した選手が勝者となります。スピードスキーには、かつてフランス語で「kilomètre lancé」と呼ばれた呼称もあり、英語では「speed skiing」として知られています。

競技ルールと装備

競技のルールとしては、まずスタート地点から300メートルから400メートルの助走を行い、その後、設置された100メートルの計測区間での平均速度が記録されます。この種目では、選手が時速200キロメートル以上の高速で滑走することが求められます。

選手がこの高速度に挑戦するために必要な装備は、時速に応じて特別に設計されています。空気抵抗を減らすため、選手は特殊形状のヘルメットやコーティングされた通気性のないスーツを着用し、また脹脛には整流効果を狙ったスポイラーを取り付けます。さらに、選手は顎の位置が雪面から30〜40センチほどの位置になる極端なクローチングを取ることで、より安定した姿勢を保つようにします。使用されるスキー板も特別な設計が必要で、摩擦熱を考慮したフィーチャーが取り入れられています。

歴史的な記録

スピードスキーの中での世界新記録は、イタリアの選手イバン・オリゴーネによって2016年3月26日にフランスのヴァールで達成された254.958 km/hです。また、日本記録は久住和永が1997年にフランス・レザルクで記録した241.611 km/hで、当時世界で三番目の速さとされています。

競技は1992年、アルベールビルオリンピックで公開競技として実施されましたが、その際に起きたスイス選手の死亡事故から、公式競技としては未だ認められていません。しかし、この危険な要素を背負いつつも、スピードスキーは現在もワールドカップを中心に人気を保ち、特に欧米では多くのファンを魅了しています。

代表的な選手たち

この競技においては数多くの著名選手も存在します。1970年の世界スピードスキー選手権で優勝した森下勝は、183.392 km/hの記録を持っています。また、三浦雄一郎は1964年にチェルビニアで172.084 km/hを記録した後すぐに他の選手に破られてしまいます。

久住和永は日本人初の200キロ超えを達成し、「音速のサラリーマン」として知られています。1999年には、山崎香里が日本人女子として初めて200キロを超え、209.059 km/hを記録しました。その後も彼女は2016年に212.64 km/hと記録を更新しています。さらに、元国体スキーヤーの清水アキラも、163.089 km/hの記録を持つ選手です。

スピードスキーは迫力と技術が融合した魅力的な競技であり、今後の進展に注目が集まります。

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