スプリングフィールドの戦い (1780年)

スプリングフィールドの戦い

スプリングフィールドの戦い（1780年6月23日）は、アメリカ独立戦争の中で発生した重要な戦闘であり、ニュージャージー州スプリングフィールドで大陸軍とイギリス軍との間で行われました。その後、長らく単なる奇襲と見なされていましたが、後の研究によりイギリス軍の戦略的意図が明らかになりました。この戦闘は、イギリスがニュージャージーに確固たる拠点を確保するための一環として計画されたものでした。

背景

1775年に始まったアメリカ独立戦争では、イギリス軍と大陸軍は数年間に渡って激しい戦闘を繰り広げていました。1780年春、イギリス軍指揮官のヴィルヘルム・フォン・クニプハウゼンは、ニュージャージーへの進攻を決意。侵入目的は、疲弊した住民を味方につけ、モリスタウンにある大陸軍の作戦本部を襲うことにありました。そのために、エリザベスを拠点にし、ホバート・ギャップを経由して進軍を図りました。

今回の計画には、さまざまな部隊が参加しました。近衛旅団やスコットランド王室連隊などが集められ、強力な攻撃力を誇る軍隊が編成されました。しかし、スプリングフィールド地域は過去にも何度もイギリス軍に襲撃されており、住民たちは非常に警戒を強めていました。特に、6月7日のコネチカット農園の戦いでの襲撃もあり、住民たちの不安は募っていました。

大陸軍は、クニプハウゼン部隊がホバート・ギャップに向かっているとの情報を得ると、すぐに防衛体制を強化しました。ジョージ・ワシントン将軍は戦闘前日までスプリングフィールドに司令部を置いていましたが、実際の防衛指揮はナサニエル・グリーン将軍に委ねられました。

戦闘の展開

戦闘が始まると、イギリス軍とドイツ人傭兵部隊は二手に分かれ、ボーホール道路とギャロッピングヒル道路から攻撃を仕掛けました。しかし、大陸軍は攻撃の予測に成功し、ラーウェイ川の浅瀬に塹壕を掘って待ち構えました。イギリス軍の攻撃は激しかったものの、結局大陸軍はこれを凌ぎ切りました。

イギリス軍は40分間に5度もの攻撃を仕掛けましたが、前線の丘を奪われ、最終的には撤退を余儀なくされました。撤退する際、彼らはスプリングフィールドの集落に火を放ち、ほとんどの建物が焼失しましたが、3軒の建物は現在も残っています。大陸軍は撤退するイギリス軍を追撃し、スタテン・アイランドまで追いつめました。

戦闘中、独特なエピソードとして、ジェイムズ・コールドウェル牧師がワッツの賛美歌集のページを使って銃の詰め物を作ったという伝説が残っています。彼の言葉「兵士にワッツを渡せ」という言葉が第一次世界大戦まで軍隊の「号令」として使われるようになりました。

戦闘の意義

スプリングフィールドの戦いは、北部における独立戦争の最後の大規模な会戦となり、イギリス軍のニュージャージー侵攻の計画を妨げる結果となりました。この戦いが持つ意義は大きく、特に戦争の主戦場が南部に移行していた状況の中で「忘れられた勝利」として語り継がれています。

今日では、スプリングフィールドの戦闘が行われた場所は、ボーホール道路とミルバーン・アベニューの交差点近くに位置しています。この戦いの記憶は、地域の歴史においても重要な位置を占めています。

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