スプリングフィールド造兵廠

スプリングフィールド造兵廠：アメリカ小銃開発の歴史

スプリングフィールド造兵廠（Springfield Armory）は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州スプリングフィールドに位置していた、かつての国営小銃開発施設です。スプリングフィールド・アーモリー、またはスプリングフィールド国営造兵廠とも呼ばれていました。この造兵廠は、アメリカの小火器開発において重要な役割を果たし、数々の名銃を生み出してきました。

歴史

1777年、陸軍施設としてスプリングフィールド工廠が建設されました。その後、1794年に初代大統領ジョージ・ワシントンの命により、各種機関が統合され、小火器の国産化を目指すスプリングフィールド造兵廠が正式に発足しました。この造兵廠は、アメリカの軍事史において、小火器の自給自足体制を確立する上で重要な役割を担いました。

南北戦争では、北軍を中心に約100万丁が使用されたM1863ライフルドマスケットが特に有名です。また、20世紀に入ってからは、M1ガーランドやM14といった、アメリカ軍を代表する小銃が開発されました。しかし、ベトナム戦争時にM14が必ずしも戦場でのニーズに合致せず、正式採用銃がコルト社製のM16に切り替えられた後、1968年にスプリングフィールド造兵廠は閉鎖されました。

閉鎖後

現在、造兵廠の施設は記念公園や博物館として運営されており、その歴史を伝えています。また、「スプリングフィールド・アーモリー」のブランドは民間に売却され、1974年には民間企業のスプリングフィールド・アーモリー・インク（Springfield Armory Inc.）が設立されました。この民間企業は、旧造兵廠が開発したM1ガーランドやM14などの小銃の他、M1A（M14の民間モデル）や他メーカーのライセンス製品を製造・販売しています。ただし、法的には旧造兵廠とは直接的な関係はありません。

スプリングフィールド製小銃

スプリングフィールド造兵廠が製造した小銃は、「スプリングフィールド銃」と呼ばれます。特にライフルは「スプリングフィールド・ライフル」とも呼ばれます。ただし、比較的最近のM1892以降のモデルは、この呼称に含まれないこともあります。

主な製品

スプリングフィールド造兵廠は、多様な小銃を開発してきました。以下に主な製品を列挙します。

M1795：アメリカ初のマスケット銃。シャルルヴィルM1761/1763のデザインを踏襲。
M1812：シャルルヴィルM1777のデザインを基にしたマスケット銃。
M1816：M1812の改良版で、アメリカで最も多く生産されたマスケット銃。
M1822：M1816の派生型。
M1835：M1822同様にM1816の派生型で、部品の互換性を重視。
M1840：M1835の改良版。最後のフリントロック式マスケット銃。
M1842
M1855：前装式ライフル。テープ式雷管を使用。
M1861：最初の量産型前装式ライフルで、南北戦争の主力銃。
M1863：M1861の改良版で、南北戦争の主力銃。
M1865：M1861を後装式に改造したもの。
M1866：M1863を後装式に改造し、口径を縮小したもの。
M1868：M1866の改良型。
M1869：M1868の短銃身版。
M1870
M1870レミントン・ネービー
M1871
M1873：新設計。45口径。
M1875
M1877
M1880
M1882
M1884
M1886
M1888
M1889
M1892：ノルウェーのクラッグ・ヨルゲンセン・ライフルのライセンス生産。
M1903
M1911：ライセンス生産。
M1917エンフィールド
M1922：22口径訓練銃。
M1ガーランド：第二次世界大戦で活躍した半自動小銃。
M14：ベトナム戦争初期に投入された小銃。
M79

まとめ

スプリングフィールド造兵廠は、アメリカの小火器開発の歴史を語る上で欠かせない存在です。その長い歴史の中で開発された数々の小銃は、アメリカの歴史と深く結びついており、現在でも多くの愛好家に親しまれています。

外部リンク

* Springfield Armory National Historic Site

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