スプロケット

スプロケットとは

スプロケットは、軸の回転をローラーチェーンに伝えたり、逆にローラーチェーンの回転を軸に伝えるための歯車です。このような機能から、スプロケットは「チェーンホイール」とも呼ばれています。私たちの身近な存在としては、自転車やオートバイが挙げられますが、スプロケットはそれだけに留まりません。無限軌道や写真・映画のフィルムの供給部品でも広く使われており、様々な機械において欠かせない部品です。

スプロケットの概要

スプロケットは、機械の動作や動力を伝達するための汎用要素として広く用いられています。国際的な基準ではISO 606、日本工業規格ではJIS B 1802として規定されています。スプロケットを正しく設計するためには、他の部品とローラーチェーンとの干渉を防ぐことが重要です。そのため、中心軸受けの部分にはボスと呼ばれる凸部が設けられています。ボスの有無によって、スプロケットにはA型、B型、C型などのバリエーションが存在します。

また、スプロケットの歯数は「T」で表記され、「30T」と記載されていれば30個の歯があることを示します。チェーンピッチをPとした場合、次の数式が成り立ちます。

• - スプロケット外径：Do=P(0.6+cot(180/T)°)
• - ピッチ円直径：Dp=P/(sin(180/T)°)

スプロケットの構造は、ローラーチェーンと噛み合って動くため、摩耗が偏ることがありますが、歯車減速機構ほどその影響を重視する必要はありません。

自転車用のスプロケット

自転車のスプロケットは、後輪側のスプロケットを指し、クランクペダル側のものはチェーンリングと呼ばれます。一般に、チェーンリングは後輪スプロケットよりも大きなサイズになっています。特に、外部変速機を搭載した自転車では、スプロケットに異なる歯数のものが複数組み合わさっています。これにより、ライダーは任意に変速を行うことができ、特に後輪の変速式スプロケットは5段以上のものも多く見られます。このようなスプロケットは「カセットスプロケット」としても知られています。

競輪や特定の自転車で使われる固定ギアやシングルスピードのマウンテンバイクでは、チェーンリングやスプロケットの交換によって、加速や最高速度の指向性を高めることが可能です。

オートバイ用のスプロケット

オートバイにおいては、エンジン側のスプロケットを「ドライブスプロケット」と呼び、後輪側のものは「リヤスプロケット」または「ドリブンスプロcket」と言います。自転車とは異なり、オートバイの後輪側にはより大きな歯車が搭載されています。このようにスプロケットの前後組み合わせにより、二次減速比を調整し、最高速度や低速域での加速力を用途に応じてカスタマイズすることが可能です。

無限軌道におけるスプロケット

無限軌道（キャタピラ）の起動輪もスプロケットと密接な関係があります。こちらは起動輪として用いられ、無限軌道の幅広い履帯と噛み合います。無限軌道には誘導輪や転輪も備わっていますが、転輪は起動輪とは異なり、地面の凸凹による騒音や振動を避けるために歯なしの設計が多く見られます。起動輪は大きなトルクに耐えるため、歯数を増やし荷重を分散させる工夫が施されています。

まとめ

スプロケットは、様々な機械的動作を可能にする重要な要素です。自転車やオートバイ、無限軌道のほか、日常生活にも影響を及ぼしているスプロケットについて理解を深めることは、多くの技術や運動のメカニズムを把握する上で非常に有益です。

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