スペインかぜ

スペインかぜについて

スペインかぜは、H1N1亜型インフルエンザウイルスによるパンデミックで、1918年から1920年にかけておよそ5億人が感染し、5000万から1億人以上の死者が出たとされています。このパンデミックは、特に健康な若年成人層に高い致死率を示し、その影響は歴史に深く刻まれています。

起源と名称

スペインかぜという名称は、最初にスペインでこの病気の流行が報道されたことに由来しています。当時、スペインは第一次世界大戦中の中立国であり、情報が自由に報道されていました。1918年3月、アメリカ合衆国カンザス州の軍基地で最初の感染例が記録され、その後急速に拡大しました。アメリカからヨーロッパへと兵士たちと共に持ち込まれ、瞬く間に世界中に広がっていきました。

感染の波

スペインかぜは、主に3つの波に分けられます。

• - 第1波（1918年3月から）: 最初の波は比較的穏やかで、致死率も高くありませんでしたが、兵士たちの健康を損なう要因となり、戦局にも影響を与えました。

• - 第2波（1918年8月から）: より毒性の強い変異ウイルスが現れ、特に健康な25歳から35歳の成人に多大な影響を及ぼしました。この波の期間中、アメリカでは最大約29万人が亡くなり、英国でも多数の死者が報告されました。

• - 第3波（1919年1月から）: この波はアメリカのニューヨークやフランスのパリから感染が広がり、再び大きな被害をもたらしました。

被害状況

世界中での感染者数は約5億人と推定され、世界人口の約27%から33%が感染したことになります。実際の死亡者数は1700万から1億人にまで及ぶとされ、特にインドでは1200万から1700万が亡くなったとされています。また、アメリカでは50万から85万の死亡が報告されています。

日本では、スペインかぜにより約2380万人が感染し、約39万人が死亡したとされています。1918年4月から1919年にかけて相撲界や医療機関で多くの感染者が出たことから、当時「力士風邪」との呼称も存在しました。

病原体と特徴

スペインかぜの病原体はH1N1亜型のインフルエンザウイルスですが、当時の感染症の記録には不備があり詳細不明な点も多いです。通常、インフルエンザウイルスの死者は幼児や高齢者に多いですが、このパンデミックでは若年層の死亡率が高く、これはウイルスによるサイトカインストームが関与していると考えられています。

結論

スペインかぜは、歴史的に見ても類を見ない規模のパンデミックであり、その影響は戦争だけでなく、社会全体にも波及しました。第一次世界大戦中の混乱と、それに続く大きな人道的影響は、今もなお多くの研究者の関心を集めています。このパンデミックは、今後の感染症対策の重要な教訓となることでしょう。

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