H1N1亜型

H1N1亜型インフルエンザウイルスの概要と流行

H1N1亜型（エイチいち(ワン)エヌいち(ワン)あがた）とは、A型[[インフルエンザウイルス]]に属する亜型で、A(H1N1)とも表記されます。このウイルスの中で、A(H1N1)pdm09系統がヒトにおいて毎年流行しています。感染症として季節性インフルエンザを引き起こし、例えば2017/18シーズンにはH3N2型やB型と並ぶ主要な流行株となっています。

また、このウイルスは豚の間でも感染が見られ、さらに鳥類からも多様な変異株が確認されています。特に低病原性のH1N1株は、世界各地に広がり、2006年にはヒトに感染したインフルエンザウイルスの約半数を占める状況でした。

H1N1は歴史的にも重要な役割を果たしており、1918年から1919年にかけてのスペインかぜの流行では、5000万から1億人という膨大な死亡者を出しました。このパンデミックもH1N1ウイルスによって引き起こされ、多くの国で深刻な影響を及ぼしました。

主な流行事例

スペインかぜ

スペインかぜは、H1N1ウイルスによって引き起こされた非常に危険なインフルエンザパンデミックです。第一次世界大戦中に発生し、急速に広がった結果、多くの人が命を落としました。このインフルエンザは、他の病気や災害と比較しても非常に高い致死率を持ち、短期間での死者数が突出しています。

このウイルスは、肺において過剰な免疫反応を引き起こし、サイトカインストームによって重篤な肺炎を引き起こします。そのため、健康な若年層での死亡率が高く、逆に幼児や高齢者は比較的耐性を持っているという特徴がありました。

ソ連かぜ

ソ連かぜは1977年から1978年にかけて広がったインフルエンザの局地流行で、A/USSR/90/77 (H1N1)株によるものでした。この流行は、免疫のない若者を中心に感染し、多くの新たな感染者を生み出しました。日本では「ソ連型」とも称され、1978年に製造されたワクチンにもこのウイルスが含まれています。

2009年の流行

2009年にはA(H1N1)pdm09として知られる新型インフルエンザが流行し、これは豚インフルエンザウイルスが新たにヒトに感染したことで引き起こされました。メキシコでの流行を経て、世界中に広がり、2009年6月にはWHOがパンデミックを宣言しました。初期には致死率の高さが懸念されましたが、後の調査によれば季節性インフルエンザ並みの致死率であったことがわかります。

変異と研究

H1N1ウイルスのゲノムは2005年に発表され、それをきっかけに注目を浴びました。しかし、このデータがバイオテロに利用される懸念があったため、慎重な議論が必要とされました。1918年に流行したスペインかぜ株と現在の株との比較では、わずかな変異しかないことが示され、変異によって感染力が増す仕組みが理解されるようになりました。

このように、H1N1亜型インフルエンザウイルスは、その変異株や流行事例が示すように、感染症のリスクを抱えた重要なウイルスであることがわかります。今後も定期的なモニタリングと研究が求められます。

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