スペイン・ハプスブルク朝

スペイン・ハプスブルク朝

スペイン・ハプスブルク朝は、16世紀から18世紀にかけてハプスブルク家のスペイン分家が支配した時代を指します。この期間、スペインは世界においても有数の大国としてその威厳を誇っていました。ハプスブルク家のスペイン系君主たちは、アメリカ大陸、東インド、そしてヨーロッパ地域を含めて、広大な領土を掌握していました。この壮大な時代は、「拡大の時代」とも称され、軍事力と政治的力を背景に、スペイン帝国は繁栄を極めました。

歴史的な起源としては、1469年のカスティーリャのイサベル1世とアラゴンのフェルナンド2世の結婚があり、これにより二つの王国が統合されました。1492年にはグラナダを征服し、1492年から1529年の間にナバラを征服したことが、レコンキスタの完遂をはじめとする統一の基盤となりました。イサベルとフェルナンドは1494年にローマ教皇から「カトリック王と女王」の称号を授与され、これによってスペインの君主制は「モナルキア・カトリカ」として知られるようになり、ハプスブルク朝にも受け継がれることとなりました。

ハプスブルク家の君主による治世では、16世紀から17世紀にかけて、スペインは芸術と文学の黄金時代を迎え、多くの著名な文化人が登場しました。作家ではミゲル・デ・セルバンテスや、劇作家ペドロ・カルデロン・デ・ラ・バルカ、画家ではディエゴ・ベラスケスやエル・グレコなどが名を馳せ、その作品は後世に大きな影響を与えています。

一方、ハプスブルク家は、近親婚を通じて血統を保とうとしましたが、これが健康面での問題を引き起こす要因となりました。特に、フェリペ2世以降、家族間の結婚は３親等以内が多く見られ、遺伝子の病気を持つ子供が生まれることもありました。カルロス2世に至るまで、このような結婚の頻発が家族の衰退に影響を及ぼします。近親婚による近交係数は初代君主の時代から徐々に増加し、最終的にはカルロス2世の時には0.25に達し、その結果、健康被害や早世が相次ぐことにつながりました。

1700年、ハプスブルク朝最後の王カルロス2世が死去すると、その後のスペイン継承戦争が引き起こされ、ブルボン家からフェリペ5世が即位しました。これを機に、スペインは中央集権的な国家形成の道を歩むことになり、ハプスブルク朝の長い歴史に終止符を打つことになります。

このように、スペイン・ハプスブルク朝は、政治的な力だけでなく、文化的な豊かさも並行して育んだ時代であり、その影響は今日のスペインにおいても重要な基盤となっています。

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