スペイン時間

スペインの時間帯

スペインでは、地域によって異なる2つの時間帯が使用されており、夏時間も導入されています。本土とバレアレス諸島、セウタ、メリリャでは中央ヨーロッパ時間（GMT+01:00）と中央ヨーロッパ夏時間（GMT+02:00）が、カナリア諸島では西ヨーロッパ時間（GMT+0:00）と西ヨーロッパ夏時間（GMT+01:00）が適用されています。

時間帯の詳細

本土、バレアレス諸島、セウタ、メリリャ:
中央ヨーロッパ時間（CET）：GMT+01:00
中央ヨーロッパ夏時間（CEST）：GMT+02:00（3月最終日曜日から10月最終日曜日まで）
カナリア諸島:
西ヨーロッパ時間（WET）：GMT+0:00
西ヨーロッパ夏時間（WEST）：GMT+01:00（3月最終日曜日から10月最終日曜日まで）

歴史

標準時の採用

1900年までは平均太陽時を使用していましたが、1901年1月1日にグリニッジ標準時（GMT+0:00）がスペインの標準時として採用されました（カナリア諸島を除く）。

カナリア諸島

カナリア諸島では、1922年3月1日まで平均太陽時が使用されていました。その後、1940年3月16日まではGMT-01:00が、それ以降は西ヨーロッパ時間が使用されています。
カナリア諸島は、スペイン本土と同様に夏時間を実施しており、3月最終日曜日に西ヨーロッパ時間1時から西ヨーロッパ夏時間2時に変更されます。10月最終日曜日には西ヨーロッパ夏時間2時から西ヨーロッパ時間1時に戻ります。

スペインのラジオ局では、カナリア諸島とスペイン本土の時間（中央ヨーロッパ時間及び西ヨーロッパ時間）が併せて伝えられるのが一般的です。

夏時間の導入と変遷

夏時間が最初に導入されたのは第一次世界大戦後の1918年です。その後、何度も導入と廃止が繰り返されましたが、1973年のオイルショック以降は毎年導入されています。1981年以降は指令として適用され、4年ごとに修正・改訂されています。

1996年に欧州連合の指令により夏時間の終了日が10月最終日曜日に変更されるまでは、3月最終日曜日から9月最終日曜日までが夏時間でした。

中央ヨーロッパ時間への移行

1940年、フランシスコ・フランコ政権は、ドイツ占領下のヨーロッパ地域と合わせるために、3月16日の23時を17日の0時に変更し、中央ヨーロッパ時間（GMT+01:00）を導入しました。この変更は一時的なものと考えられていましたが、現在も継続されています。

中央ヨーロッパ時間に対する批判

スペイン本土は、地理的にはグリニッジ標準時（GMT+0:00）が最も適切な時間帯に位置していますが、1940年以降は中央ヨーロッパ時間を使用しています。このため、平均太陽時とのずれが生じ、夏時間期間中には2時間のずれが生じることもあります。

この時間差が、スペイン国民の食事や睡眠時間が遅いという生活習慣に影響を与えていると指摘されています。また、標準時をGMTに戻すことで、生産性の向上やワークライフバランスの改善につながると主張する活動家もいます。

2013年には、スペイン下院の小委員会が、標準時をGMTに戻すことを政府に提案しました。この提案は、生産性の向上や国民生活の質の改善を目的としています。

ガリシアの問題点

スペイン本土の最西端であるガリシアでは、中央ヨーロッパ夏時間と平均太陽時とのずれが特に大きくなっています。例えば、ビーゴでは、夏の間、平均太陽時で正午となる時間が14時40分頃になり、日没は22時15分頃になります。

ガリシアでは、このずれを解消するために、標準時をGMTに戻すか、またはポルトガルと共通のタイムゾーンを設けるといった提案がされています。

IANAタイムゾーンデータベース

IANAタイムゾーンデータベースには、以下の3つのスペインのタイムゾーンが登録されています。

Europe/Madrid（本土、バレアレス諸島、セウタ、メリリャ）
Atlantic/Canary（カナリア諸島）

近隣諸国との違い

スペインは、ポルトガル、フランス、アンドラ、モロッコと国境を接しています。モロッコは西ヨーロッパ時間を使用していますが、ラマダーン期間中は標準時（UTC）に戻るため、スペインとの間に2時間の時差が生じる場合があります。

夏時間及びその他の変更

スペインにおける夏時間の開始・終了日時の変更は、グリニッジ標準時を基準として行われています。

まとめ

スペインの時間帯は、複雑な歴史的背景と地理的な要因によって、複数のタイムゾーンと夏時間が組み合わさって構成されています。このため、スペインを旅行する際には、時間帯の違いに注意する必要があります。

参照：スペイン海軍による時間情報

もう一度検索