スペクトラム・ブランズ

スペクトラム・ブランズ・ホールディングス（Spectrum Brands Holdings, Inc.）は、アメリカ合衆国に拠点を置く、多角的な消費財メーカーです。フォーチュン500企業の一社として、幅広い製品ラインナップを展開しています。そのルーツは、1906年に設立されたフレンチ・バッテリー・カンパニーに遡り、その後レイオバック（Rayovac Corporation）を経て、2005年に現在のスペクトラム・ブランズとなりました。

事業内容

同社は、家電製品、芝生・庭の手入れ用品、防虫剤、アクアリウム・ペット用品、そして住宅用ハードウェアなど、多岐にわたる分野で事業を展開しています。具体的には、以下のブランドが知られています。

家電製品: Remington、Black & Decker、George Foreman、Russell Hobbs
芝生・庭の手入れ用品: Spectracide、Garden Safe
防虫剤: Cutter、Repel
アクアリウム用品: Tetra、Whisper、Marineland、Perfecto、Jungle、Instant Ocean、Visi-Thermなど
ペット用品: Dingo、Nature's Miracle、Lazy Pet、Wonderboxなど
住宅用ハードウェア: Kwikset、Baldwin、National Hardware、Pfister

これらの製品は、同社の傘下にあるUnited Pet Groupを中心に生産されており、オハイオ州シンシナティに拠点を置いています。

歴史

スペクトラム・ブランズの歴史は、1906年にジェームズ・ボーウェン・ラムゼイによって設立されたフレンチ・バッテリー・カンパニーから始まります。1930年には、社名をレイ・オ・バックに変更しました。これは、当時の新技術であった電子線と真空管にちなんだものです。

1933年には、最初のウェアラブル真空管補聴器の特許を取得し、第二次世界大戦中には、アメリカ軍に約5億個のバッテリーを供給するなど、大きな貢献を果たしました。

多角化と社名変更

2003年、レイオバックは事業の多角化を決定し、バッテリー以外の事業を買収。レミントン・プロダクツやUnited Pet Groupなどがその例です。2005年には、United Industries Corporationを買収し、Vigoro、Spectracide、Sta-Greenなどの芝生製品、Cutter、Hot Shot、Repelなどの防虫製品、そして、Marineland、Perfecto、Eight in Oneなどのペット用品を傘下に収めました。また、アクアリウム用品の主要企業であるテトラも買収しています。

この多角化に伴い、社名をスペクトラム・ブランズに変更しました。さらに、ファルタ、寧波宝旺、Microlite S.A.などの電池会社も買収し、事業を拡大しました。

経営状況と再編

買収による負債が増加したスペクトラム・ブランズは、ペット部門の売却を試みましたが、この取引は最終的に破談となりました。2009年には連邦倒産法第11章を申請しましたが、その後、経営を立て直し、破産から脱却しました。

本社は、ウィスコンシン州マディソンから、ミドルトンへと移転しました。

日本市場への参入と撤退

1954年、岡田乾電池（現・東芝電池）との共同出資により「日本レイ・オ・バック乾電池株式会社」を設立し日本市場に参入しましたが、1982年に全株式を譲渡し、撤退しています。

近年の動き

2010年には、ラッセルホブス・インクと合併し、ジョージ・フォアマン・グリル、Toastmaster、Black＆Decker Home appliance、ラッセルホブスなどのブランドが加わりました。

2015年には、アーマード・オートグループを買収し、アーマオールやSTPのブランドで自動車用品市場にも参入しました。

2018年、バッテリー部門をエナジャイザーに売却し、同年に支配株主であるHRGグループと合併。合併後の会社はスペクトラム・ブランズ・ホールディングスとして、ティッカーシンボルSPBで取引されています。

バッテリー製品

スペクトラム・ブランズは、レイオバックブランドで、単4から9Vサイズのアルカリ電池、充電式ニッケル水素電池、補聴器電池、リチウムフォト電池、特殊電池、携帯用充電器、そしてポータブルLED懐中電灯や提灯などを製造・販売しています。

スペクトラム・ブランズは、その歴史の中で、多角的な事業展開とM&Aを繰り返し、現在の巨大な消費財メーカーとしての地位を築いてきました。今後も、多様なブランドを通じて、世界中の人々の生活を支え続けるでしょう。

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