スペシャルリザーブ

サントリースペシャルリザーブ：日本のウイスキー史を彩るロングセラー

サントリースペシャルリザーブは、サントリーが1899年の創業70周年を記念して発売したブレンデッドウイスキーです。
ホワイト、レッド、角瓶など多くのウイスキーを世に送り出してきたサントリーにおいて、スペシャルリザーブはロングセラーブランドとして高い人気を誇ります。

誕生の背景：1960年代のウイスキー業界とサントリーの挑戦

1962年の酒税法改正は、日本のウイスキー業界に大きな転換期をもたらしました。それまで雑酒として扱われていた洋酒が細かく分類されるようになり、ウイスキーメーカーにとって新たな可能性が開かれました。競合他社であるニッカウヰスキーは、この機を捉え、ハイニッカやブラックニッカを発売し成功を収めていました。

サントリーもまた、新たなウイスキーの開発に力を注ぎました。戦前に発売され、その後出荷停止になっていた「赤札」を改良した「サントリーレッド」や、最高級モルトウイスキーを使用した「インペリアル」を発売するも、決定打とはなりませんでした。

転機となったのは、1970年の大阪万博です。サントリーは、万博に出展するパビリオンで「海外の来場者にも引けを取らないウイスキー」を提供したいと考え、新たなウイスキーの開発に着手しました。そして1969年、サントリースペシャルリザーブが誕生しました。

万博と舶来酒自由化：国際的なブランドイメージの確立

サントリースペシャルリザーブは、発売当初から「国産品ではなく、国際品と呼んでください」というコピーが用いられました。これは、1971年の舶来ウイスキー自由化を見据え、世界基準の品質を訴求することで、サントリーウイスキーのブランドイメージを確立しようという狙いがありました。万博での好評も相まって、この戦略は見事に成功しました。

この時代は、ニッカウヰスキーの宮城峡蒸溜所の竣工や、キリン・シーグラム（現・キリンディスティラリー）などの設立など、日本のウイスキー業界が本格的な競争時代へと突入した時期と重なります。サントリーも、将来の需要拡大を見込み、1973年には白州蒸留所を竣工しました。

リニューアルと記憶に残るCM：時代とともに進化するスペシャルリザーブ

発売以来、サントリースペシャルリザーブは幾度となくリニューアルを重ねてきました。1988年には黒を基調としたデザインに変更、ミッキー・ロークを起用したCMが話題を呼びました。1982年から1985年にかけては、西村佳也によるコピーと伊藤方也によるイラストがコラボレーションした新聞広告シリーズ「日本に生まれたことを喜びたい」が、高い評価を受けました。

1984年には、クリアボトルの「サントリーリザーブ・シルキー」を発売、マット・ディロンと坂本龍一を起用したCMも記憶に残るものです。1990年代には、「リザーブ友の会」や「ウイスキーは冷蔵庫へ」のCMシリーズが制作され、話題となりました。また、1996年には10年物へのリニューアル、沢田研二と奥田瑛二共演のCM、スリムボトルが登場しました。2006年には12年物、2008年には「ノンエイジ」扱いとなりましたが、現在も進化を続け、愛され続けています。 スペシャルリザーブは、単なるウイスキーではなく、日本のウイスキーの歴史、文化、そして時代の変遷を映し出す鏡と言えるでしょう。

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