スペルカード

スペルカードとは

スペルカードとは、同人サークル上海アリス幻樂団が制作する「東方Project」シリーズに登場する用語であり、特徴的なゲームシステムです。敵キャラクターが繰り出す弾幕攻撃に、それぞれ固有の名前が付けられている点が最大の特徴と言えるでしょう。この名前があることで、プレイヤーは弾幕のパターンを覚えやすく、攻略法を共有するなど、コミュニティ内での話題が広がりやすくなりました。

スペルカードのシステム

スペルカードは、東方ProjectのWindows版ゲーム作品に搭載されたシステムで、一言で表すなら「必殺技」のようなものです。敵が繰り出す攻撃は、その外見や性質から連想される名前が付けられた「スペルカード」として表現されます。一方、自機が使用するスペルカードは、緊急回避や攻撃手段として使用する「ボム」として発動します。

スペルカードの名前は、通常「符名「カード名」」という形式で構成されています。符名には、カードのイメージを象徴する言葉（例：博麗霊夢の「霊符」「夢符」、霧雨魔理沙の「恋符」「魔符」など）が用いられます。カード名には、スペルカードの攻撃内容を具体的に表す名称（例：霊夢の「夢想封印」「封魔陣」、魔理沙の「マスタースパーク」「スターダストレヴァリエ」など）が付けられます。ただし、フランドール・スカーレットの「禁弾」「QED」のように、必ずしも「○符」という形式に当てはまらないものも存在します。

敵が使用するスペルカード

スペルカードは、各ステージのボスキャラクターや一部の中ボスが使用します。ボスの持つスペルカードを全て打ち破ることで、ボスを倒したと判定されます。画面上部には、ボスのスペルカードの残り回数が表示され、ボスは通常、数枚から多い場合は10枚以上のスペルカードを所持しています。

スペルカードの発動時には、キャラクターのカットインと共にスペルカード名が表示され、背景が専用のものに切り替わります。また、『妖々夢』以降の作品では、スペルカード取得時のボーナス点とスペルカード取得率がスペル名と共に表示されます。

スペルカードの取得

スペルカードの発動中、一度もミスをせず、ボムを使用せずに敵のライフを規定値まで削ると、ボーナス点（スペルカードボーナス）を獲得できます。この状態を「スペルカードを取得する」と言います。ただし、敵のライフを規定値まで削っても、スペルカード中に被弾したりボムを使用した場合は、スペルカードを取得できません。

各スペルカードには制限時間が設けられており、敵のライフゲージの右側に残り時間が表示されます。スペルカードボーナスは、時間の経過と共に減少していきます。制限時間内に敵のライフを削りきれなかった場合、次の攻撃に移行しますが、スペルカードを取得したことにはなりません。

一部のスペルカード（通称「耐久スペル」）は、時間切れまで被弾せずにボムを使用しないことで取得できます。これらのスペルカードは、敵に当たり判定が無かったり、敵自体が画面内に存在しないなど、敵を倒せない状況であることが多いです。

スペルカードの取得状況は、ゲームスタート画面から選択できるスコア確認画面で確認できます。取得済みのスペルカードは文字色が変わるなど、スペルカードの取得はゲームクリア以外のやり込み要素の一つとなっています。

難易度による変化

難易度によって、スペルカードの名前や内容が大きく変化することがあります。Easy・NormalとHard・Lunaticの2段階で変化するものが多く、弾幕の強化・弱化が主な変更点ですが、中には全く別の弾幕に変わってしまうスペルカードも存在します。

自機が使用するスペルカード

自機のスペルカードは、「ボム」として搭載されています。使用するとキャラクターのカットインと共にスペルカード名が表示され（カットインは一部作品のみ）、一定時間、完全無敵となる特殊攻撃が発動します。この特殊攻撃には、敵弾を消去する効果があるものが多く、自機の種類によって威力、弾消し性能、無敵時間などが異なります。

作中での設定

スペルカードルールは、幻想郷における紛争解決の手段として確立されました。人間と妖怪が対等に戦うため、あるいは強大な妖怪同士が力を制御して戦うために導入された、一種の決闘ルールです。作中では「弾幕ごっこ」とも呼ばれます。

スペルカードルールの概要

対決に際しては、事前に技の名前と内容を決定し、契約書形式で記した「スペルカード」を準備します。決闘開始前に使用回数を提示し、技を使用する際には「カード宣言」を行います。体力が尽きるか、全てのスペルカードを攻略されると敗北となります。技の美しさも重要視され、単なる力比べではない、競技的な側面も持ち合わせています。

スペルカードルール導入の経緯

スペルカードルールが導入されるきっかけとなったのは、妖怪が著しく弱体化していた時期に発生した「吸血鬼異変」です。異変解決後、博麗霊夢の提唱により、スペルカードルールが制定され、妖怪と人間が「スポーツ感覚に近い決闘」を行えるようになりました。これにより、妖怪は異変を起こしやすくなり、人間も異変を解決しやすくなったとされています。

霧雨魔理沙による考察

霧雨魔理沙は、書籍『The Grimoire of Marisa』の中で、スペルカードを「殺し合い」を「遊び」に変えるルールであると考察しています。また、『儚月抄』では、綿月依姫にスペルカードルールを説明する際、「この世でもっとも無駄なゲーム」と評しています。

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