スペースショット

遊園地におけるタワー型アトラクションの一種である「スペースショット」は、地上から高さ数十メートルにも及ぶ塔の頂上に向けて、座席が垂直に高速で打ち上げられるスリル満点のライドです。従来の「フリーフォール」が落下による無重力感やマイナスGを体験させるのに対し、スペースショットはその逆で、急加速によって体に強いプラスG（加速）がかかる瞬間の感覚が醍醐味となります。この独特の打ち上げ方式が、多くの来場者を魅了しています。

推進の仕組み

スペースショットの最大の特徴は、その推進システムにあります。このアトラクションは、電気的な巻き上げや単なる重力落下に頼るのではなく、圧縮空気の力を用いて座席を駆動させます。塔の中央部には、大きなシリンダーが内蔵されており、このシリンダー内に高速で圧縮空気が送り込まれることで、内部のピストンが勢いよく移動します。座席は強靭な索（ワイヤー）でこのピストンと連結されており、ピストンの動きに合わせて座席も上昇する構造になっています。

体験と動き

利用者が座席に着席すると、座席は塔の基部に位置しています。安全確認が完了すると、シリンダーの上部から高圧の空気が供給され、ピストンが勢いよく下降します。これに連動して、座席は地上を離れ、驚異的なスピードで塔の頂上へと打ち上げられます。この垂直方向への急加速こそが、スペースショットの代名詞ともいえる強いGを引き起こし、乗客はまるで宇宙ロケットで打ち上げられるかのような感覚を味わいます。頂上に達した後、座席は下降を開始します。下降の際も空気圧が使用され、制御されながら地上へと戻ってきます。シリンダー内の空気が適切に排出されることで、座席は安全に搭乗位置に停止します。搭乗にかかる時間は約50秒程度です。この短い時間の中に、打ち上げ時の強烈なGと、その後のわずかな浮遊感や下降のスリルが凝縮されています。

歴史と広がり

スペースショットは1990年代に登場し、世界中の遊園地に導入されました。日本では1996年 3月28日に、浅草花やしきと鈴鹿サーキットに初めて設置され、大きな話題となりました。翌年の1997年4月27日には、ナガシマスパーランドに当時日本で最も高い75メートルのスペースショットが登場し、その垂直打ち上げの迫力で人気を博しました。世界の最高峰としては、スペインのマドリッドにあるパルケ・ワルナー・マドリッドに設置されている「ラ・ヴェンガンサ・デル・エニグマ（La Venganza del Enigma）」が知られており、その高さは115メートルに達します。アトラクションの全高は仕様によって大きく異なり、約28メートルから92メートルを超えるものまで様々です。

主な仕様概要

スペースショットの具体的な仕様はモデルによって異なりますが、一般的なものとして、打ち上げ時の最高速度は約98km/h（時速60マイル）に達するものがあります。一度に搭乗できる人数は、通常12名または16名仕様が多く見られます。安全な搭乗のためには、最低身長制限が設けられており、例えば約1.22メートル（48インチ）以上といった基準が適用されることがあります。これは、安全バーやハーネスが適切に体にフィットするために重要な要件です。アトラクション全体の構造重量は無人状態で約52トンを超えることもあり、その堅牢さが伺えます。

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