スペード (玉置浩二のアルバム)

玉置浩二の9枚目のオリジナル・アルバム『スペード』は、2001年3月28日にファンハウスからリリースされました。前作『ニセモノ』から約1年ぶりのオリジナル作品であり、全曲の作詞・作曲を玉置浩二本人が手掛けています。一部楽曲では安藤さと子と共作しています。

制作の背景

前作リリース後、玉置浩二は全国コンサートツアーを敢行。安全地帯のギタリストである武沢豊が参加し、活動休止以来の共演が実現しました。

録音について

レコーディングは軽井沢のウッドストックスタジオで行われました。過去の作品ではギター弾き語りから録音を開始する方法も試みましたが、本作では従来通りリズムを先行してレコーディングする方法に戻しました。リズム録りではパーカッションだけでなく、コップやダンボールなど身近な素材を使用。水の量を調整したコップの音や、お菓子の箱、ダンボールを叩いた音などをオンマイクで録音し、独特の音響を作り上げました。玉置浩二は、これらの素材を駆使したリズムトラックを基に、ギター、ボーカル、さらに矢萩渉のギター、安藤さと子のピアノ、ドラムス、ベースという順で音を重ねていきました。ドラムスはスネアドラムを手で叩き、シンバルは1枚ずつ別々に録音するというこだわりを見せています。

安全地帯のプロデューサーであった星勝は、玉置浩二のこうした能力を「今できないこと言っても、瞬時に開発する。今できなくても、すぐに自分のものにするんですね。すごくスピード感がある」と評しています。

音楽性

歌詞について玉置浩二は、制作時に歌詞のことで頭がいっぱいになり、視力が減退したと語っています。歌詞は全て自分自身に向けられた言葉であり、ミュージシャンとしての節目を迎えている心境や、不況の時代に打ちひしがれた人々を励ますメッセージが込められています。

収録曲「このリズムで」は、アコースティックギターとピアノが絡み合うシンプルな楽曲で、ダンボールで奏でるパーカッションが躍動感を添えています。

リリースとツアー

アルバムは2001年3月28日にCDでリリース。2018年にはBlu-spec CD2、紙ジャケット仕様で再リリースされました。

アルバムを受けてのコンサートツアーも開催され、全国31都市で33公演が行われました。

批評とチャート成績

音楽情報サイトでは、玉置浩二の円熟味を増したボーカルと、オリエンタルな一面を際立たせた内容が評価されています。また、軽井沢時代を締めくくる作品として、内省的な歌詞がリスナーにストレートに伝わるメッセージアルバムであると評されています。

オリコンチャートでは最高位25位を獲得し、3.4万枚を売り上げました。

収録曲

このリズムで
ルーキー
Mr. Lonely
Driver
常夜灯
Walking
スケジュール
Home
笑って
スペード

参加ミュージシャン

玉置浩二 - ボーカル、コーラス、ギター、ベース、ドラムス、パーカッション
矢萩渉 - ギター、コーラス
* 安藤さと子 - キーボード、コーラス

『スペード』は、玉置浩二の音楽的な才能と内面性が融合した、聴きごたえのあるアルバムです。

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