スペードのエース

スペードのエース

スペードのエース（Ace of Spades）は、英語圏においてトランプカードの中で最高のランクを持つことで広く知られています。特に、さまざまなゲームでの重要性に加え、その背後には古くからの伝説が存在し、「死のカード」としても認知されています。このカードは、16世紀からの長い歴史を持ち、その意匠や使用法も時代とともに変わってきました。

デザインと歴史

スペードのエースの起源は、イギリスのジェームズ1世やアン女王の時代にさかのぼります。当時、スペードのエースには印刷所の記章を入れることが法律で義務付けられていました。さらに、チャールズ1世の時代には、印紙税が導入され、その影響はトランプにも及びました。

1711年には、特にスペードのエースがその印紙税の支払いを証明する役割を果たすようになりました。1712年以降は、通常スペードのエースに捺印する形で支払いを示しました。しかし、1765年以降、印紙が廃止されイギリスの国章があしらわれたスペードのエースが公式に使用されることになりました。1828年に作られた「オールド・フリズル」と呼ばれるスペードのエースは、税金支払いの証明に用いられていましたが、1862年には3ペニー包装紙の導入により、こうした制度は終了しました。

それ以降、製造業者はデザインの自由が与えられ、今日見られる装飾的なスペードのエースが一般的に用いられるようになりました。また、スペードのエースはその重要性から意匠登録や商標登録の対象にもなり、1882年にはアメリカのジョージ G.ホワイトが登録を行いました。このデザインは、エースの両側に男女が寄りかかる姿が特徴的です。

戦争における用途

スペードのエースは戦争の場面でも特別な意味を持っていました。例えば、第二次世界大戦中には、米第101空挺師団の第506落下傘歩兵連隊がヘルメットにスペードのシンボルを描きました。これは、カードゲームの幸運が連想されることから、幸運を意味して使われたのです。

また、ベトナム戦争では、米軍が精神的な戦術としてスペードのエースを使用しました。この時、スペードはベトナムで死や不運の象徴とされており、米兵は敵兵の死体にスペードのエースを置くことで、恐怖感を与えようとしました。これがU.Sプレイング・カード社による大量発注の背景にもなりました。

最近では、2003年にイラク戦争において、手配中のイラクの高官を描いたトランプカードのセットが作成され、その中でサッダーム・フセインがスペードのエースとして扱われることで「スペードのエース」というニックネームが付けられました。

慣用句と文化

スペードのエースにまつわる慣用句も数多く存在します。たとえば、「スペードのエースのような黒さ」という表現は、黒と黒人を指す意味で用いられます。また、フランス語でも「fagoté comme l'as de pique」と言った表現があり、スペードのエースが身なりが汚いことを意味します。

スペードのエースはこのように、単なるトランプカード以上の象徴的な意味を持ち続けています。その背景には、歴史や戦争、文化から影響を受けて現在まで語り継がれる普遍的な存在感があります。

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