スポイラー (自動車)

スポイラーの概要

スポイラーとは、運動中の自動車における空気の流れを改善するために設計された装置です。主に車体の表面に取り付けられ、望ましくない空気の動きを「壊す（スポイルする）」ことで、ドライバーの操縦性を向上させ、燃費の向上にも寄与します。スポイラーにはフロントスポイラーとリヤスポイラーがあり、特に高性能スポーツカーやレースカーにおいて重要な役割を果たしています。

スポイラーの働き

スポイラーの基本的な機能は、車両周辺の空気の流れを改善し、乱流を減少させることです。これにより、車体が受ける揚力を低下させ、安定性を向上させることができます。多くの場合、スポイラーはその形状によって気流を拡散し、層流を崩すことで、車両の動きがより安定します。特にレーシングカーでは、スポイラーが車両の操縦性に与える影響が大きく、各レースの特性に応じて調整されています。

乗用車におけるスポイラーの役割

一般の乗用車でもスポイラーは多く採用されており、これにより抗力を減らし、燃費向上を目指しています。例えば、フロントスポイラーは車両の下を通過する空気の量を減少させ、抗力係数を低下させる役割を果たします。また、リヤスポイラーは空気の流れを整えることで、車両の揚力を減少させ、高速安定性を高める効果があります。

スポイラーの設計と材質

スポイラーは通常、軽量でかつ耐久性に優れたポリマー素材や複合材料で作られます。ABS樹脂やファイバーグラス、シリコーン、カーボンファイバー等が一般的な素材です。これらの素材は、製造コストや耐久性のバランスを考慮しながら選ばれます。また、最近の技術では、アクティブスポイラーと呼ばれる動的に調整可能な情報も増えてきています。このアクティブスポイラーは、走行状況に応じて最適な空気力学を提供するため、スポーツカーやハイパフォーマンスモデルに多く使用されています。

ホエールテールの歴史

1974年にポルシェ・911ターボに搭載された「ホエールテール」という大型リアスポイラーは、当時大きな注目を集めました。このデザインは後部の揚力を抑えるように設計され、同時にスポーティな印象を与えました。このホエールテールは、後の多くの車両デザインに影響を与え、今でも多くの自動車に同様のスタイルが取り入れられています。

まとめ

スポイラーは自動車の空気力学を最適化するために不可欠な装置であり、レースカーから一般の乗用車まで広く利用されています。これにより運転の安定性が確保され、燃費向上にも寄与するため、今後ますます進化し続けることが期待されています。

もう一度検索