スポーツ吹矢

スポーツ吹矢とは

スポーツ吹矢は、健康法としての腹式呼吸と、日本の伝統的な吹き矢を組み合わせた、現代的なスポーツ競技です。一般社団法人日本スポーツウエルネス吹矢協会が普及に努めており、競技ルールや用具に関する規定も同協会によって定められています。

誕生の経緯

1988年頃、長岡市の医師である樋口裕乗氏が、吹き矢を現代風にアレンジしたものを考案しました。肺機能の活性化に繋がる健康法として、「吹矢健康法」が発表され、競技としてのルールも同時に示されました。その後、青柳清氏が樋口氏と出会い、気功の呼吸法を取り入れつつ、スポーツとしての基礎が築かれました。

1995年には、的や筒のサイズ、ルールなどを定めた「医者がすすめるスポーツ吹矢健康法」が出版され、スポーツとしての位置づけが明確になりました。1997年には、軽量で扱いやすい矢の開発により、競技の精度が向上し、より完成度の高いスポーツへと発展しました。

1998年、青柳氏によって「日本スポーツ吹矢協会」が設立され、特に中高年層を中心に競技人口が増加しました。2007年には社団法人として文部科学省の認可を受け、2014年には一般社団法人として内閣府の認可を受けています。その後、協会の名称変更や理事長の交代を経て、現在に至っています。また、2019年には、青柳芳英氏がスポーツ吹矢の普及を目指し、新たな団体を設立しています。

特徴

スポーツ吹矢には、以下のような特徴があります。

腹式呼吸の活用: 腹式呼吸を意識的に行うことで、体調の改善やリラックス効果が期待できます。
肺機能の活性化: 日常生活では使わない肺の領域まで使うことで、肺機能の向上が見込めます。
精神集中力の向上: 的を狙うことで精神集中力が高まり、ストレス解消にもつながります。
幅広い層が参加可能: 年齢、性別、体力に関わらず、ほぼ対等な条件で競技を楽しめます。
用具の自作: パイプや矢などの用具は自作が可能で、手軽に始められます。


矢の初速は時速100km/hから150km/h程度とされており、武道のように段位・級位の認定制度も存在します。また、障害者スポーツとしても普及が進んでおり、車椅子の使用者も健常者と同じルールで競技を行うことができます。

主な用具

スポーツ吹矢で使用する主な用具は以下の通りです。

筒: 全長120cmまたは100cm（ジュニア用）、内径13mmで、カーボンやグラスファイバー製が一般的です。
矢: 薄いビニールフィルムを円錐状に巻いたもので、先端に錘として丸い釘や金属製のピンがついています。
的: 約33cm四方のウレタン製で、的紙を貼って使用します。

競技ルール

日本スポーツ吹矢協会の競技規則は以下の通りです。

的: 中心から半径3cm、6cm、9cm、12cmの同心円で、それぞれ7点、5点、3点、1点とします。
得点: 同心円の線に触れた場合は、高得点の方が採用されます。
的の高さ: 中心の高さは床から160cmですが、車椅子やジュニアの場合は130cmでも可とされています。
競技距離: 公式大会では、6m、8m、10mの3段階があり、段位によって距離が異なります。
競技の流れ: 筒を頭上に持ち上げた後、膝まで下ろす所作を行い、1ラウンドにつき5本の矢を吹きます。
ラウンド数: 1ゲームは4ラウンド（140点満点）または6ラウンド（210点満点）で行われます。
制限時間: 1ラウンドの制限時間は3分で、それを超えると無効となります。
用具: 協会公認の用具のみ使用可能です。

スポーツ吹矢の名称について

「スポーツ吹矢」という名称は、日本スポーツ吹矢協会の登録商標であり、許可なく他団体や個人が使用することはできません。

類似競技について

スポーツ吹矢以外にも、吹き矢をスポーツとして扱う団体は存在し、「健康吹き矢」や「吹矢レクリエーション」などの名称で活動しています。これらの競技と合わせて「スポーツ吹矢（吹き矢）」と総称されることもあります。

まとめ

スポーツ吹矢は、健康増進、精神集中力の向上、ストレス解消など、様々な効果が期待できるスポーツです。年齢や体力に関わらず誰でも楽しめるため、幅広い世代に親しまれています。興味を持たれた方は、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。

外部リンク

一般社団法人日本スポーツウエルネス吹矢協会
一般社団法人スポーツ吹矢振興協会
国際吹矢道協会
一般社団法人日本吹矢レクリエーション協会
日本吹矢連盟
NPO法人日本吹矢検定
フランススポーツ吹矢協会
ドイツスポーツ吹矢クラブ
* 米国スポーツ吹矢協会

もう一度検索